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角田裕毅の速さは「ホンモノ」 中団トップの7位入賞で日本GPに期待も膨らむ (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【最後のピットストップまで耐え続けた終盤】

 メルボルンは毎年、荒れたレースになる。トップ5チーム10台がリタイアしなければ『11位の壁』はそう簡単に破ることはできない。だが、メルボルンならば、そのチャンスはいつもより大きい。

 そんなレースだからこそ、しっかりと中団グループの最上位に立ち続けておく必要がある。

 8番グリッドからスタートした角田は、スタートでランス・ストロール(アストン・マーティン)に抜かれ、最初のピットストップでルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)にアンダーカットされた。しかし、そこに焦りはなかった。彼らは、自分が戦うべき相手ではないからだ。

今季初入賞で角田裕毅にようやく笑顔が戻った photo by BOOZY今季初入賞で角田裕毅にようやく笑顔が戻った photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る「ターン1で(ストロールに)行かれたのは仕方ないですし、ハミルトンはどちらにしてもペースがいいのはわかっていたので、特に焦りはしなかったですね」

 その言葉どおり、RBと角田が対したのは上位勢ではなく、中団トップを争う相手であるハース勢やウイリアムズのアレクサンダー・アルボンの動きを見ながら、彼らの前でコースに戻ることができるタイミングでピットインを済ませていった。

 例年よりも1ステップ柔らかいタイヤが持ち込まれた今年は、ハードタイヤですらグレイニング(表面のささくれ)が起きてグリップ低下と磨耗が進んだ。その苦しい状況のなかで、タイヤをいたわり、なおかつペースを落とさず、ライバルたちにつけ入る隙を与えない走りが求められる。

 数秒後ろにニコ・ヒュルケンベルグとケビン・マグヌッセンのハース勢を抱えながら、アンダーステア傾向の強まるタイヤを傷めないようにいたわりつつ、前のストロールを追いかけていく。レース中盤から終盤にかけて、最後のピットストップまで耐えなければならない時間帯が最も厳しかった。

 レースエンジニアのマッティア・スピニも、ステアリング上で変更できるブレーキバランスやデフの調整をアドバイスして、なんとかマシン挙動を改善させると同時に、角田のメンタルを理解し支えるように鼓舞する。

「裕毅、君はよくやっているよ。このまま続けていこう、今ががんばりどころだ」

「裕毅、リミテーション(制約要素)はフロントタイヤだけか? それならシェイプ2、エントリー3。なんとか耐えるんだ」

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