真夏の鈴鹿、かけがえのない特別な8時間。優勝の立役者・長島哲太は「...ごめんなさい、言葉になりません」 (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

優勝候補4メーカーの布陣は?

 衛生基準はこのように慎重にコントロールされたが、レースそのものは世界選手権らしい国際色豊かなエントラントが揃った。

 前回の2019年の優勝チーム、Kawasaki Racing Team Suzuka 8Hは3年越しの連覇を狙い、エースのジョナサン・レイにアレックス・ロウズ、レオン・ハスラムというイギリス人トリオの布陣で臨んだ。過去の8耐でレイは2勝、ロウズは3勝、ハスラムは3勝を挙げている。まさに最強といっていいチーム編成だ。

 一方、ホンダファクトリーのTeam HRCは、長島哲太、高橋巧、イケル・レクオーナというラインナップで挑む。長島は、Moto2でシートを失った2020年末にHRCの扉を叩き、マシン開発を担当することになったという経緯がある。高橋は8耐で過去3回の優勝経験を持つ。ホンダは2014年の勝利を最後に優勝から遠ざかっている。ホンダがこれほど長い間勝てないのは、8耐史上初めてのことだ。

 そして、昨年の世界耐久選手権(EWC)チャンピオンチームとして今回の8耐に臨むのが、スズキ陣営のYoshimura SERT Motulだ。この週末に先立って、参戦予定選手が新型コロナウイルス陽性となったため、チームはピンチヒッターでほかのライダーを投入。さらにもうひとりのライダーが直前の事前テストで転倒して負傷。結局、そのピンチヒッター選手と日本人選手の渡辺一樹のふたり体制で戦う厳しい状況を強いられた。

 ヤマハは2015年から2018年まで4連覇したファクトリーチームこそ参戦しないものの、EWCを戦い慣れたYART-YAMAHA OFFICIAL TEAM EWCが陣営のトップチームとして戦う。

 これらの強豪チームがタイムを争い、土曜午後の予選では、週末を通して速さを見せ続けた長島哲太が唯一の2分04秒台を記録。この長島の最速タイムでTeam HRCがポールポジションを獲得した。

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