20歳の岩佐歩夢がF1直下カテゴリーF2で初優勝。覚醒した走りは、角田裕毅でも見ることがなかった圧倒的な速さ (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Getty Images

育成ドライバーが凌ぎを削るF2

 その甲斐あって、第3ラウンドのイモラではすでに予選でトップを争う速さを見せ、それ以降も常に予選ではトップ3〜5のポジションにいる。超激戦のF2の予選において、これは角田裕毅(アルファタウリ)も含めて、これまでの日本人ドライバーでは見ることがなかった速さだ。

 ポールリカールでは時間切れで最終アタックができず、0.006秒差でポールポジションは逃した。だが、最速ドライバーのひとりであったことは間違いなかった。

 そして日曜のフィーチャーレース。今年は週末のフォーマットが変わり、上位10台のリバースグリッドで行なわれる土曜のスプリントレースは10点、日曜のフィーチャーレースが25点と、本当に速いドライバーが評価されるシステムになっている。

 岩佐はスタートでポールポジションのローガン・サージェント(ウイリアムズ育成)を抜くが、好スタートを決めたジャック・ドゥーハン(アルピーヌ育成)に並ばれた。ここで岩佐の冷静な判断力が光った。

「ターン1のブレーキングで突っ込むかどうか迷ったんですけど、ドゥーハンはアグレッシブなので、やりすぎるとタイヤを傷める可能性があるっていうのが頭にありました。あと、今年の彼のレースを見ていてレースペースがいいようには見えなかったんで、あそこでは落ち着いて2位をキープしました」

 すぐに頭を切り替え、得意なセクションで勝負をかけることにした。すでにターン2からそこに向けて、岩佐は立ち上がり重視のドライビングに切り替えている。その結果、バックストレートでスリップストリームに入り、ターン8のブレーキングで抜いてトップ浮上を果たしてみせた。

「昨日からずっとターン6のトラクションだけじゃなく旋回性能からよくて、スロットルを踏んでいけていたので、セクター1でパッと思いついてそこをうまく合わせ込んだ。結果、意外と近い距離で立ち上がれたので、ここしかないなと思ってあそこで仕掛けにいったという感じでした。

 あの距離だとスリップストリームもかなり効きますし、アウト側に横に並んで前に出ていきつつあったので、こちらに優先権があるから若干ラインを閉めにいって、相手にハードブレーキングをさせないようなアプローチをしたうえで、ターン8に向けてブレーキングしたような感じでした」

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