角田裕毅の「キレやすい」イメージに世間とのズレ。「最近は自分自身をうまくコントロールできている」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

キレている印象に本人は?

 しかし実際には、今シーズンの角田は努めて冷静にドライビングしようとしている。特にここ数戦は、無線で叫びたくなるような状況でも叫ばないよう、自制しているのが伝わってきていた。そんななかでも、テレビでは叫んでいる無線だけが切り取られ、ミスの映像と合わせて放映されるから、「またキレている」というイメージになる。

 メンタルトレーナーも昨日、今日あてがわれたわけではなく、FIA F2の頃からやっていることだ。端的に言えば、世間のイメージはかなり遅れていると言うべきだろう。

「ヘルメットを被って走っている時は少しイライラしやすいかもしれませんけど、最近は自分自身をうまくコントロールできていると思います。無線で叫んだりしていると、ほかのドライバーより僕がキレやすいと思われているでしょうけど、最近はそんなことないと思います。

 いつもではないかもしれませんが、なるべく冷静でいるようにしていますし、そこに集中しているので、周りの評価はあまり気にしていないです。叫んでいたとしても、いいパフォーマンスを発揮していれば問題ないと思いますしね」

 前戦オーストリアGPが典型だが、ドライバー自身がどんなに優れたレースをしてもマシンのポテンシャルが低ければ、そのドライビングの優れた点に目を向けられることはほとんどない。

「カナダとシルバーストンではミスを犯しましたが、その前のアゼルバイジャンでは6位を走っていて、単純に信頼性の問題でポイントを逃しています。オーストリアではマシンの速さが足りませんでしたし、シルバーストンも同じです。

 ここからの2連戦でアップグレードの効果がどれほどのものかにもよりますけど、まずはシーズン序盤数戦にできていたようなノーマルなルーティンに戻ることが目標です。自分がシーズン前半戦に学んできたことを、きちんとまとめ上げる週末にしたいと思っています」

 フランスGPではマシンパフォーマンスが向上することにより、角田自身のドライビングにも目が向けられる。そんなレース週末になることを願いたい。

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