角田裕毅の判断ミスでダブル入賞も水の泡。ガスリーとのバトルを止めなかったチームにも責任はある (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

ふたりが接触した経緯は?

 角田はなんとかピットまで自力で戻ったため、マシンを修復してリスタートすることができた。再スタートでは温まりの速いソフトタイヤでポジションを上げて、8位まで浮上してみせた。前を走るガスリーは雨の予選に合わせたセッティングを選んでおり、角田のほうがペースは速かった。

 だが、チームはふたりのポジションを入れ換えるチームオーダーは出さず、ガスリーと角田を自由に戦わせた。

 その結果、11周目のターン3で角田がインに飛び込もうとしたところにガスリーがターンインし、行き場を失った角田はさらにブレーキを踏み込まなければならず、リア荷重が抜けてスピン。ガスリー車に接触してスピンさせてしまい、結果的にダブル入賞のチャンスを完全に潰すこととなってしまった。

「オーバースピードではなかったですね。あのまま入っていっても、間違いなく出口で白線の内側にとどまることができていたはずですから。そもそも、コーナーの中で抜こうとしたわけではなくて、コーナーに入る前に抜こうと思って仕掛けましたし。でも、彼があんなふうにコーナーの中に入ってからも僕とのバトルを続けるとは思っていなかったんです」

 角田は10周目のターン15でインに飛び込んで前に出たが、ガスリーもあきらめずサイドバイサイドでランオフエリアを走りながらコースに戻ってポジションをキープした。

 しかしそのぶん、最終シケインの立ち上がりが苦しくなり、次のブレーキグポイントであるターン3では角田が優位に立っていた。アウトに行くと見せかけて、ブレーキングでインへ。並んで入っていこうとしたが、ガスリーはポジションをあきらめなかった。

 ターン3へ飛び込んだ時点で角田のマシンは完全に並んではおらず、コーナーへの優先権はない。ガスリーはイン側に1台分のスペースを残してターンインしており、角田はそのスペースで曲がれるターンインをしなければならなかった。

 角田の言う「白線の内側にとどまってクリア」はつまり、相手にスペースを残さないドライビングであり、ターンイン時に前に出ていないドライバーにそれは許されていない。5秒加算ペナルティが科されたのも仕方のないことだった。

 ドライビングミスというよりも、判断ミスだった。

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