角田裕毅は昨年クラッシュしたモナコGPをどう攻める。ガスリー「ウォールにフレンチキスをしたら、それでおしまい」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

モナコは些細なミスが命取り

 モナコは特別なセッティングが必要とされる。低速コーナーを速く走るしなやかさと、意外と多く存在する回り込むような中高速コーナーで安定した空力性能を発揮するサスペンションセットアップ。それに加えて、サーキット各所にあるバンプをうまく乗り越えることも重要になる。

「モナコは路面がバンピーなので、中高速コーナーであまり跳ねるマシンでも困ります。なので、低速コーナーの速さと中高速コーナーで跳ねないバランスを見つけ出す必要があります。低速コーナーを意識しすぎると、中高速コーナーで大きくタイムロスすることになるんです。最終的には少し硬めの脚回りのセッティングに行くことになります」(角田)

 今年はグラウンドエフェクトカーで走る初めてのモナコとなる。どのチームもフロア下でダウンフォースを生み出すグラウンドエフェクトを最大限に高めるために、サスペンションは従来よりも硬めの仕様となっている。これがモナコの特殊な路面でどんな挙動を示すのか。

 どのチームも金曜フリー走行でじっくりとデータを収集し、土曜の予選までにしっかりと煮詰めていくことになる。日曜には雨の予報もあるが、降水確率は改善の方向へと向かっている。

 昨年はマックス・フェルスタッペンがモナコ初優勝を挙げた。今年はルクレールがこれまで不運続きの地元優勝をはっきりと視野に入れている。

「僕らが最も強いのは中速コーナーで、ここはあまり中速コーナーが多くない。でも、基本的に僕らのマシンパッケージはどのサーキットでも強力だと思う。

 ここで僕らが最有力候補かどうかはわからないけど、去年は全体的にはそんなにコンペティティブではなかった僕らがここでは最速だったように、今年もサプライズがあるかもしれない。誰も予想していなかったようなチームが、モナコでは最速かもしれない。でも、僕たちが優勝争いできることは間違いないと思っているよ」(ルクレール)

 モナコに"絶対"はない。ほんのわずかなミスが命取りともなり得る。だからこそ、新人も優勝候補も一歩ずつ予選・決勝に向けてビルドアップをしていく。

 どんなレースになるのか、特別なグランプリなだけに予選のその瞬間を迎えてみるまで、まったくの未知数だ。

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