角田裕毅は「苦労してない」一方、ガスリーは持ち味を生かせず。いまだ解決できぬマシンのダウンフォース不足 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

求められるクリーンな週末

 一方、もともとリアが不安定でも苦にせずマシンを振り回して走ることができる角田は、このAT03にそれほど苦労してはいないという。

「フロントが弱い(リアの安定性が高い)マシンの扱いに関しては、彼(ガスリー)のほうがうまいと思います。僕は彼よりももっとオーバーステアなマシンが好きなので、アンダーステアが強いマシンでは僕のほうが苦しむんです。特に去年はそうでした。でも、今はそんなに苦労はしていないです。

 もちろん、フロント寄りのセットアップもできるんですけど、そうすると(弱いフロントよりさらに弱くしなければならないため)リアのダウンフォースがあまりに弱くなりすぎてしまう。リアが弱いマシンは彼よりもうまく対処できるので、だからこそ僕は問題をあまり感じていないんだと思います」

 マイアミではQ3に進出したものの、決勝でペースが振るわず、ずるずると後退してしまった。

 決勝日の体調が悪かったこともあるが、タイヤをうまく扱えずにレースペースがフルに発揮できないというのは、角田自身も課題だと感じている点だ。

「とにかく僕の場合は、クリーンな週末を送ることと、タイヤに対する理解を深めてレースペースを向上させることです。その点はピエールほどうまくできていないですね。

 どのレースでもどちらかのマシンに問題が起きて、完全にクリーンな週末を送ることができていないので、次のステップとしてそれが果たせればと思っています。もちろん、レースを経るごとにマシンへの理解は進んでおり、トラブルも減ってどんどんよくなってきていることは確かです。なので、それを達成することはそんなに難しいことではないと思います」

 チーム全体としてもトラブルやセットアップミスを減らし、"クリーンな週末"を目指さなければならない。マシンの進歩が遅れていても、そのポテンシャルを100%引き出せるかどうかは自分たち次第だ。

 今の自分たちにできることをすべてやり尽くし、ドライバーとAT03の持つポテンシャルを結果に結びつける。それこそが、今のアルファタウリと角田に求められていることだ。

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