角田裕毅は「苦労してない」一方、ガスリーは持ち味を生かせず。いまだ解決できぬマシンのダウンフォース不足 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

ガスリーが苦しむ回頭性不足

 僚友ピエール・ガスリーも、今、自分たちの手にあるマシンのポテンシャルを最大限に引き出すことが重要だと指摘する。逆に言えば、今シーズンのアルファタウリはそれができていない。マシンの競争力どおりの結果を手にできていないのだ。

「これまでのレースで何がよくて、何がよくなかったか、それをしっかりと見直したうえでマシンのポテンシャルを最大限に引き出す必要がある。トラブルなく、予選も決勝もクリーンに戦うこと。それによって最大限のポイントを取ることが大事。

 中団グループでは6チームが(トップ3チーム以降の入賞圏)7位〜10位を争っている状況だ。僕たちよりも速いライバルもいるし、かなり厳しい。去年はポテンシャルの98%、99%を引き出すこともできていたけど、今年はそこまでいけていないからね」(ガスリー)

 開幕前から抱えてきたダウンフォース不足は、完全に解決はできていない。イモラで投入したフロアも満足のいく出来ではなかったようで、「フロアからのダウンフォースをもっと引き出すべく努力している。風洞やCFDでの作業が進められているけど、すぐに投入できる計画ではないんだ」という。

 ガスリーは特に、低速域・中速域での回頭性不足に苦しんでいると訴える。

「マシンのフロントが、僕が望むほど強くない。特に中速コーナーと低速コーナーでの回頭性に苦しんでいる。そして、その後はマシンがスライドしてしまう。高速コーナーでは4輪がスライドしてしまって、ライバルたちのようなスピードをキャリーすることができない」

 結果的にそれが、ガスリーの持ち味である高速コーナーでの驚くような速さを削いでしまっている。

 ガスリーはもともと、リアのスタビリティが高いアンダーステア傾向のマシンを好むドライバーだ。だが、そのガスリーでも「足りない」というほどマシン全体のダウンフォースが足りていないのがAT03の現状だ。

 フロントのダウンフォースが弱ければ、リアのダウンフォースを下げて前後バランスを取るしかない。つまりそれは、全体的なダウンフォース量の低下を意味する。

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