角田裕毅、今季初のQ3進出で期待されるも...天国から地獄へ。2022年型アルファタウリはまだまだ理解不足 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

ガスリーのマナー違反にも冷静

 だが、一度しかないQ3の新品ソフトタイヤでのアタックは、完璧とは言えなかった。

「アウトラップでトラフィックに引っかかってしまって、タイヤの温度が冷めてしまってセクター1を思うようなグリップで走ることができなかったんです」

 その"トラフィック"とは僚友ガスリーのことだ。ターン7でインに入られ、前に行かれてしまった。

「結構無理に抜かれてしまったんで、それもいい学びになったなと思います。次はさせないようにというか、いいことを学ばせてもらったなと思います。行かせてしまったのも自分の責任ですし」

 マナー違反に当たるこのドライビングだが、角田は自ら名指しで批判することはしなかった。うまくいかなかったことに対し、自分のなかによくなかった点を見つけ出そうとする。これはレーシングドライバーとして大きな成長であり、今後さらに成長するために欠かせないスタンスでもある。

 予選の失敗からスプリントレースと決勝で順調に挽回を果たした前戦エミリア・ロマーニャGPに続き、今回も苦境のなかでこそ角田の成長がはっきりと見えた。

 決勝ではトップ10圏内でさらに飛躍が期待されたが、現実は真逆となってしまった。

「最初からペースがまったくなく厳しい状況で、タイヤのグリップもまったくない状態で最初のスティントを終えました。なぜなのかはまったくわかりません。イモラとは真逆の状況でした」

 ミディアムタイヤでペースが伸び悩む角田は、状況を打開すべく11周目に早めのピットイン。しかし、ハードタイヤに履き替えてもペースは思わしくはなく、ウイリアムズに引っかかって抜けない状況が続いた。

「そもそもペースがなかったので難しかったですね。ハードに換えた後もペースが上がらなかったので、何だったのかはこれから分析する必要があります。症状としてはオーストラリアGPの時と同じような感じだったので、そこはチームと一緒にしっかりと確認していきたいと思います」

 予選とは真逆のパフォーマンスにショックを受けるほどのレースを終えて、角田は言葉少なにそう語った。

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