ドリフトを見て人生が激変。「私も絶対にここで走る」と誓った女性が5年で競技最高峰のD1GPに参戦 (3ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 田中 亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

自分の走りが誰かのパワーや元気に

−GPではドライバーの力はもちろん重要ですが、チームの総合力の勝負になります。ドライバーチームを牽引していくことも大事になりますね?

下田 実は昨年まで私が一番頭を悩ませていたのがチーム編成でした。モータースポーツはどんなチーム体制で戦うのかというのがすごく大切。ドライバーだけモチベーションが高くても、勝利にはつながりません。メカニックの方はマシンを整備する仕事に集中でき、同じようにドライバーは走ることに集中できる環境をつくることがチームとしての強さにつながっていくと思っています。昨年のライツでは、それぞれの役割と責任を明確にして、自分の仕事に取り組んでもらうことを徹底してやりました。

 ドライバーの私がどうしたら一番いいパフォーマンスを発揮できるかとスタッフに伝えるのは重要ですが、最初のうちは「私がそんなことを言ったら、ワガママになるのかな」とか「なんだよ、コイツ」とか思われないかなと、遠慮していた部分がありました。でも今はチームと信頼関係が築けていますし、「結果を出すためにはコイツの言うことをやらないとダメだよね」とチームが一丸となって戦う環境がつくれていると思います。今年のGPではチーム体制をもっと強固にしていていきたいです。

下田(中央)とドリフトのマシンを整備するスタッフたち下田(中央)とドリフトのマシンを整備するスタッフたちこの記事に関連する写真を見る−「ドリフトで人を感動させたい」とよく話しています。それが最終的な目標になるのですか?

下田 D1GPはドリフト競技では世界トップのカテゴリーですので、私の走りを見てくれる方が世界中で増えることになります。つまり自分がいい走りをすれば、人に何かを伝えられる手段が増えることでもあります。もちろんドライバーとして最高峰で優勝することが夢ですが、誰かの心に何かを伝え、パワーや元気を与えるような走りができれば本望です。

 将来的には海外に出ていって、ドリフトを知らない人たちにその魅力を伝え、楽しんでもらいたいという夢があります。今年のGPではいい走りをして、少しでも多く人の心に届く走りをしたいです!

「いずれは世界にドリフトを広めたい」と語る「いずれは世界にドリフトを広めたい」と語るこの記事に関連する写真を見る【profile】
下田紗弥加 しもだ・さやか 
千葉県出身。2018〜21年にD1GPの直下カテゴリーD1ライツに参戦。2022年、ドリフト競技の最高峰D1GPに参戦。今年からファッションブランド「AZUL by moussy」やアメリカの世界的な半導体メーカー「Intel」とのコラボもスタートする。自ら編集するYouTubeチャンネル『Drifting Sayaka くるくるTUBE』も人気を集めている。

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