スーパーGT開幕戦で予想を裏切った「Z」。トヨタのお膝元・富士スピードウェイで日産の下克上あるぞ! (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

開幕戦で見せた新型Zの底力

 ただその一方で、新型Zは低速コーナーの多いコースをあまり得意としていない印象もあった。3月に岡山国際サーキットで行なわれた公式テストでも、Zはトップタイムを記録できていなかったからだ。

 そして迎えた開幕戦予選。日産勢はリアライズコーポレーションADVAN Z(ナンバー24)が5番手につけたものの、エース的存在にある23号車は9番手でQ1敗退。さらにCRAFTSPORTS MOTUL Z(ナンバー3)も14番手に沈み、テクニカルなコース特性を持つ岡山で日産は劣勢かと思われた。

 ところが決勝になると、新型Zの底力が発揮される。

 進化した直線スピードを存分に生かしたレースを展開し、前半スティントでは3号車の追い上げがめざましく、徐々に順位を上げていく。また、各車がピットストップを終えた後半スティントに入ると、7番手スタートだったカルソニックIMPUL Z(ナンバー12)が2番手に浮上する快進撃を見せた。

 そして23号車は、残り20周を切ってからの接近戦で着実に順位を上げていき、最終的に3位でゴール。

「なかなか辛抱のレースで、決して楽な展開ではありませんでしたが、とにかくライバルのミスを逃さず着実に順位を上げることができたので、それが3位表彰台につながったのだと思います」(23号車の松田次生)

 後半にすばらしい追い上げを見せてサーキットを沸かせた松田の表彰台での笑顔から、新型Zがライバルのマシンと互角に戦える印象を受けた。

 松田の相棒ロニー・クインタレッリも、開幕戦の走りで確かな手応えを掴んだ様子だ。

「公式練習からクルマにポテンシャルを感じていましたが、Q1は僅差で突破することができませんでした。ただ(決勝は松田)次生選手のフィードバックのおかげもあって、僕のスティントではストレートでもパワーを感じ、クルマの戦闘力を感じられました」

 表彰台に立った23号車以外にも、3号車が5位、12号車は終盤にペースを落としたが7位でポイントを獲得。24号車はGT300クラスのマシンに追突されるという不運によって14位となったが、何事もなければトップ10圏内でフィニッシュできただろう。

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