初音ミク仕様のGTマシンとレースクイーン衣装のデザインの裏側。「根っからのオタクなので完全再現したいのですが......」

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • photo by Orihara Hiroyuki © neco / CFM

コスプレとは別物のレースクイーン衣装

 マシンと並んでファンの注目を集めているのは、チームのレースクイーンユニットであるレーシングミクサポーターズ、通称「ミクサポ」の4人。ミクサポはその年のレーシングミクのデザインをベースにしたコスチュームを着用する。そのコスチュームの制作進行を担当しているのが、グッドスマイルレーシングスタッフの宮本あゆみさんだ。

ミクサポメンバーの4人。左から、荒井つかささん、美桜さん、涼雅さん、相沢菜月さんミクサポメンバーの4人。左から、荒井つかささん、美桜さん、涼雅さん、相沢菜月さんこの記事に関連する写真を見るこの記事に関連する写真を見る コスチューム制作がスタートするのは、レーシングミクのキービジュアルが完成直後。シーズン開幕の前年夏頃だ。宮本さんはレースクイーンのコスチューム制作のポイントをこう語る。

「今年のミクサポのコスチュームは、アイドルなどのステージ衣装を多く手がける会社(オサレカンパニー)にお願いしました。コスチュームは、キャラクターの再現だけが目的のコスプレ衣装と違い、サーキットでのさまざまな気象条件下で1シーズンを通して着用され、しかも動き回ることを想定した機能性と耐久性が求められます。そのうえで、イラストの再現性や、ミクサポメンバーのカワいさ、スタイルを最大限に生かすことなど、複数の要件をバランスよくデザインしていきます。

初音ミクのレーシングバージョン「レーシングミク」2022年版イラスト初音ミクのレーシングバージョン「レーシングミク」2022年版イラストこの記事に関連する写真を見る たとえば、今季のレーシングミクは上下オールインワンのコスチュームが特徴ですが、このタイプの服は体型がはっきりと出るので、どんなにスタイルのいい人でもイラストのように見せるのは困難。さらに着脱のしやすさにも難があります。そこで、見映えとサーキットでの機能性を考慮して、実際のコスチュームはセパレートにしました。私は根っからのオタクなのでイラストを完全再現したい気持ちが強いのですが、いつもこのバランスに悩んでいます」

 昨年末に開催されたチームの体制発表会での初お披露目以降もコスチュームの改善が続いたそうだ。

「採寸から完成まで、何度もフィッティングをして着やすさや動きやすさを確認しながら仕上げてきました。体制発表会で初めてお客さんの前で着用してもらい、年明けの東京オートサロンでも着て、撮影会などの活動をしてもらいました。この2回の着用で改善点を洗い出し、製作会社の方と一緒に試行錯誤しながら調整を進めてきました。初お披露目の時とは少しデザインが変わりましたが、最終的にはもとのイラストの雰囲気を残しつつ『カッコカワいい』コスチュームにできたと思っています。ご覧いただいたみなさんの感想が楽しみです」

 妥協なく改善して進化させていく。レースクイーンのコスチュームも、マシンのカラーリングも、コース上を走るレーシングカーも、その手法は共通している。レースでの激しいバトルだけではない見どころがスーパーGTには溢れている!

(終わり)

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