今季のスーパーGT "初音ミクマシン"は「カッコいい系」に一新。デザイナーが語るマシンカラーリングの世界

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • photo by Orihara Hiroyuki © neco / CFM

デザインに使った資料や模型。度重なる修正を続けて完成させたデザインに使った資料や模型。度重なる修正を続けて完成させたこの記事に関連する写真を見るこの記事に関連する写真を見るこの記事に関連する写真を見る 締め切りまで1カ月を切ると、毎日のようにデザイン案に対する意見を出し合い、修正を重ねていった。そして11月下旬に作業は最終段階に入り、八塚さんはデザインの細かい調整を行なった。

「ボディサイドのラインはレーシングカーにとって定番のデザインアイテムです。マシンは昨年までと同じMercedes-AMG GT3なので、カッコいいラインの位置は結局似たようなところにはなりますが、その年の全体のデザインに合ったベストな位置、ライン自体のデザインを慎重に検討します。今回も正面から、上から、左右それぞれから見た時の印象を検証しながら微調整しました」

お披露目ギリギリに完成

 ラインの位置が決定し、ついに全体のデザインが固まった。仕上げにスポンサー各社のロゴやゼッケンを配置して、初音ミクのライセンサー(クリプトン・フューチャー・メディア)が最終確認。いよいよ完成したデザインデータをGSRのラッピング施工を行なう「のらいも工房」に入稿した。その時は12月中旬、まさにデッドラインぎりぎりだった。

「入稿時、デザインコンセプトシートを作ってラッピング施工の担当者と打ち合わせに臨みます。フラッグをマシン全体に敷くイメージであることや、最終的にどんなふうに見えることを期待しているのかなど、できるだけ具体的に伝えるように心がけています。施工を進めていくと事前に想定したデザインを実現できない部分が出てくることがどうしてもあります。そんな時でも施工担当の方にデザイナーの意図をしっかり伝えることができていれば、どの方向性で解決するべきか提案してくれるのです」

1月の東京オートサロンにて1月の東京オートサロンにてこの記事に関連する写真を見る開幕前のテスト走行にて開幕前のテスト走行にてこの記事に関連する写真を見る 数々の工程を終えて、ついにマシンのラッピングが完成したのは年明け。マシンはそのまま千葉・幕張メッセに運ばれ、1月中旬のオートサロンでGSRの2022年仕様カラーリングとして、無事にお披露目された。

 今シーズンもGSRは試行錯誤を繰り返して完成したデザインとともに、元F1ドライバーの片山右京監督の下、谷口信輝選手と片岡龍也選手という不動の布陣でGT300クラス4度目のチャンピオンを狙う。

(後編「マシンとレースクイーン衣装のデザインについて」につづく)

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