フェルスタッペン完敗の理由は「読み間違い」。次戦イモラのアップデートでフェラーリ追撃の手を打てるか (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

自信をもって攻められない

 2022年型マシンはまったくの新車だけに、信頼性の問題もある程度は仕方がない。

 一度出たトラブルは、対策を施せば再発はしない。開幕2戦でアルファタウリ側に発生したパワーユニット本体のトラブルも含め、世界的なロジスティクス遅延のためHRC Sakuraへの機材輸送が大幅に遅れている。原因究明と対策の進みが遅いのは気がかりだが、これはどうすることもできない。

 しかし、それよりも重大なのは、マシンそのもののパフォーマンスだ。フェルスタッペンは今シーズンで初めて、マシンのフィーリングについて苦言を呈した。

「トラブルにはちょっと驚いている。ちょっと多いからね。マシンバランスにもかなり苦しんでいて、レースではタイヤのデグラデーション(性能低下)がひどいんだ。

 つまり、今の僕らは正しいウインドウのなかに入っていない。それでも2番目のマシンではあるけれど、タイトル争いをしたいのならフェラーリを上回る必要がある。今の彼らは様々な点で、僕らを大幅に上回っている」

 マシンバランスに一貫性がなく、限界まで自信を持って攻めることができていない。予選ではそれがパフォーマンス不足につながる。そして決勝では、マシンバランスの悪さがタイヤに悪影響を及ぼす。

「このサーキットでは、いかにグレイニング(タイヤ表面のささくれ)を抑えるかがすべて。だから僕らはプッシュすることができなかった。でないと、タイヤがダメになってしまうからね。

 今日(のペース差)はかなり極端なケースではあったと思う。でも、僕らはもっと信頼性も必要だし、もっと速さも必要だし、もっとタイヤをうまく使えるようにもならなければならない。やらなければならないことが山積みだよ」

 このタイヤマネージメントを念頭に置いたセットアップの方向性を、レッドブルは金曜日から完全に見誤ってしまった。改修されて高速になったアルバートパーク・サーキットの特性を読み間違えたのだ。

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