2022版F1マシンはすべてがガラリと変わった。噂の「グラウンドエフェクトカー」のメリット、デメリットとは? (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

課題は大きなバウンシング

 今回のテストでは、マシンが高速走行中に縦揺れを起こす"ポーパシング"と呼ばれる現象にも注目が集まった。

 フロア下の負圧が高まって車体が吸いつけられ、路面に接した瞬間に気流が減って負圧が低下し車体が浮き上がる。そこからまた気流が復活して負圧が高まっていき、また路面に接すると負圧が失われ......というのを高速で繰り返した結果、ドライバーが激しいマシンの上下動に悩まされるという、グラウンドエフェクトカー特有の現象だ。

「最初にマシンをドライブしてポーパシングが発生した時には、ちょっとショッキングだったよ。まったく予想していなかったからね。現段階ではこれによっていくらかパフォーマンスをロスしていることは確かだし、僕らはそれほどひどく苦しめられているわけではないけど、僕らよりもうまく対処しているチームがあるのも確か。もっとうまくやれるはずだ」(ガスリー)

「300km/hで走りながら3〜4cmジャンプしてアップダウンしているんだから、そりゃクレイジーだし気分はよくないよ(苦笑)。今すぐに解決できるものではないけど、バーレーンまで、そして開幕してからも、エンジニアたちがこの新世代のマシンを学んでどんどん改善していってくれると信じている」(カルロス・サインツ/フェラーリ)

 バルセロナではこの問題に対処するために、セットアップ面でコーナリング性能を犠牲にして走行したチームもある。しかし、どのチームも解決の方向性は見出しており、次のバーレーン合同テスト(3月10日〜12日)には対策部品を持ち込み、セットアップ面の改善も含めてこの問題を解決するのにそれほど時間はかからないだろうと見られている。

「どのチームもバウンシングの問題を過小評価していたが、想定していた以上に大きくバウンシングが発生している。グラウンドエフェクトに起因するものであることは確かで、それが非常に強力だからこそ起きている。

 パフォーマンスを犠牲にすることなくバウンシングを抑える最良の解決策を見つけ出す必要があるが、どのチームもどこかのタイミングまでにはそれを見つけることができるだろう。ただし、少しでも早く見つけたチームがアドバンテージを得られるのは確かだ」(フェラーリ、マティア・ビノット代表)

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