2022版F1マシンはすべてがガラリと変わった。噂の「グラウンドエフェクトカー」のメリット、デメリットとは? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

高速コーナリングが可能に

 バルセロナで走行したドライバーたちも、その効果は感じ取っていた。

「高速コーナーを抜けて行く時のマシンバランスはとてもいい。前走車の背後で走っている時も、突然ダウンフォースが抜けたり変なオーバーステアが出ることは減って、これまでより少しよくなっている。もちろんF1マシンは驚異的な速さで走っているから、それがまったくなくなるとは思っていないけど、これまでよりもコントロールしやすくなっていることは確かだ」(マックス・フェルスタッペン/レッドブル)

「コーナーでのフォロー性能は確実によくなっていると思う。もちろんタイヤや燃料搭載量が違うから正確なことはわからないけど、2〜5車身差で走行している時でもそれぞれフィーリングは全然違う」(ランド・ノリス/マクラーレン)

 グラウンドエフェクトは高速になればなるほど負圧が高まり、マシンは路面に吸いつく。そのため、史上最速と言われた2020〜2021年型マシン以上に安定して速い高速コーナリングが可能だと、ドライバーたちは声を揃える。

「高速コーナーではものすごくうまく機能している。シルバーストンや鈴鹿で走るのがものすごく楽しみだよ。これまで以上に接近して走ることができれば、レースは間違いなくよくなるだろう。僕らにとってはこれまで以上にアドレナリンを爆発させてレースができるし、ワクワクしているよ」(ガスリー)

 しかしその一方で、ストレートでのスリップストリーム効果は明らかに減っているという。グラウンドエフェクトカーはウイングよりも小さい空気抵抗でダウンフォースを生み出すことができるのだから、逆に言えば前走車の背後を走ることによる空気抵抗の減少も少なくなるというわけだ。

「前走車のフォロー性能は改善していると思うけど、その一方でスリップストリーム効果は大幅に減少していると思う。これまでよりも接近して前走車をフォローすることはできるようになっているけど、スリップストリーム効果が減った分どうなるか。ランド(・ノリス)のあとを走ったことがあったけど、1〜2車身差でメインストレートに入ったものの抜くことはできなかった。僕はそこがちょっと心配だね」(ジョージ・ラッセル/メルセデスAMG)

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