角田裕毅の成長にアルファタウリ代表も「驚いた」と絶賛。合同テストで見せた速さと落ち着き (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

記憶が飛んでも僕は問題ない

 初日の角田、そして2日目のガスリーとテストは順調に進み、ポーパシングの対応策も見えているといい、チームの雰囲気は明るい。

「詳しくは教えられないです、言うなって言われてるんで(苦笑)。でも、ターゲットは完全にハッキリしていて、何をすればいい状態に辿り着くかというのはすごくハッキリ見えています。それをセッションごとに確かめながらしっかりと進めていくこと。自分たちがやっていることが正しいよねっていうことをひとつひとつクリアしながら進んでいるので、今はいい方向に進んでいると思います。

 バウンシングがひどくてもクルマが速ければ、僕的には問題ないですね。たとえバウンシングのせいで(頭が揺さぶられて)記憶が飛んだとしても、今この瞬間のドライビングを楽しめるのであれば、僕は問題ないです(笑)」

 2022年型F1マシンは、フロア下に設けられたエアトンネルで負圧を生み出して地面に吸いつけるグラウンドエフェクトカーで、高速コーナーでは従来以上に安定したダウンフォースを生み出す。その一方で、低速コーナーではダウンフォースが少なく、車体重量が増していることもあって、従来よりも鈍重な挙動になる。

 それでもアルファタウリのAT03は昨年型AT02に似たキャラクターで、ドライビングスタイルもそれほど大きくは違わないと角田は言う。角田自身の本来の好みとは違うかもしれないが、1年間慣れ親しんだ特性で戦えるのは決して悪いことではない。

「去年はいろんなことがありましたし、完全にコントロールできなくなって、どうすればいいのかわからなくなっていた時もありました。そういうなかでたくさんのことを学びましたので、今はすべてがコントロールできています。

 今は自分の置かれた状況がわかっていますし、それに対して適応しようとしています。(2021年の)最後の3レースは自分がやるべきことを見据えて自分自身を安定させるのに役立ったと思いますし、今は自信がさらに深まって、とにかく自分のことに集中することができていると思います」

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