角田裕毅の成長にアルファタウリ代表も「驚いた」と絶賛。合同テストで見せた速さと落ち着き (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

マシンが小刻みに縦揺れする

 昨年から引き続き、今年もアルファタウリのパワーユニット運営責任者を務めるHRC(ホンダ・レーシング)の本橋正充エンジニアも、角田の成長ぶりに感心しているひとりだ。

「今年の角田選手はすごく落ち着いていますし、テストも安心して任せられるようになっていました。マシンやパワーユニットに対する理解度は去年の開幕前から高かったんですが、去年のシーズン前半戦は結果を焦るあまりミスをして、さらに焦りが重なってオーバードライブしてしまうというような状況でしたけど、シーズン後半戦からは落ち着いて周りがよく見えるようになっていましたから」

"グラウンドエフェクトカー"で初めての本格走行となったバルセロナでは、ストレート後半でリアが浮いたり沈んだりを繰り返すマシンが多く見られた。

 事前にミサノで新車AT03のシェイクダウンを行なっていたアルファタウリは、高速走行中にマシンが小刻みに縦揺れする、この「ポーパシング」と呼ばれるバウンス現象に気づいていた。

「目標はバーレーンGPまでに、マシンをしっかりと開発し仕上げることです」

 角田は繰り返しそう強調した。ここで問題に焦って過剰反応するのではなく、次のバーレーン合同テスト(3月10日〜12日)に対策部品を投入することで根本的解決を図る。ある意味では自分たちに言い聞かせるように、チーム内でも目指すべきターゲットとしてそれを掲げている。

 角田自身は冷静なドライビングを心がけるだけでなく、フィードバック面でも意識をしたと言う。そんなところにも、2年目のシーズンに臨むドライバーとしての自覚と成長が感じられた。

「初日はまず、できるだけマシンについてのフィードバックをできるように心がけました。チームからそうしろと言われたわけではありませんけど、今回のテストでマシンの問題点をしっかりと洗い出して、次のバーレーンテストに向けてマシンの開発を進められるように、そうすべきだと思ったからです」

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