参戦5年目、レッドブル・ホンダ誕生。トップの座を奪った瞬間、大観衆は地鳴りのような歓声を上げた

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【懸念は現実のものとなった...】

 晴れて生み出されたレッドブル・ホンダRB15は、開幕戦オーストラリアGPであっさりと3位表彰台を獲得した。2015年から始まったホンダの挑戦の初表彰台は、あまりにもあっけなくやってきた。

「F1に復帰してから、これまでいろいろと経験してちょっと時間がかかりましたけど、まずは最初の一歩を踏み出せたかなと思っています。これまでいつも一歩一歩進んでいきたいと言っていましたけど、今日のレースが本当の意味で、最初の一歩になるんじゃないかと思います」

 2018年にトロロッソと組んでから、それまでの混乱を落ち着かせるように「一歩、一歩」と口癖のように言い続けてきた田辺豊治テクニカルディレクターはそう語った。

 しかしそれと同時に、立ちはだかる壁の高さも痛感させられたレースだった。

「正直に言えばホッとした面もありますけど、予選・決勝を通してメルセデスAMGの強さと彼らとの差はハッキリと見えていますから、ホッとしたのも束の間です。今日は実力でフェラーリをうしろに従えることができましたが、ここはフェラーリがめちゃくちゃ不得意なサーキットということもあり得ますから。サーキット特性とマシン特性の組み合わせもありますし、大喜びをしている状況ではない」

 その懸念は現実のものとなった。

 レッドブルRB15は空力シミュレーションに問題を抱えており、極めてナーバスで予測が難しいリアの挙動にドライバーたちは苦戦を強いられた。そして、ホンダのパワーユニットもかなり追いついてきたとはいえ、予選モードのパワーでもMGU-H(※)の回生量でも、まだメルセデスAMGやフェラーリには及ばない面があった。

※MGU-H=Motor Generator Unit-Heatの略。排気ガスから熱エネルギーを回生する装置。

 2度目の表彰台を獲得することができたのは第5戦スペインGP。優勝を期していた第6戦モナコGPでは予選でもメルセデスAMG勢に及ばず3位、決勝ではミディアムタイヤのルイス・ハミルトンを追いかけ回したが抜けず、ピットレーンでのペナルティで表彰台さえ獲得できなかった。

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