スバルBRZ、スーパーGT王者までの軌跡。「声援は力!」を信じたスバリストの想い (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

【最後は悔し涙ではなく...】

 予選では好調なライバルのタイムを上回り、今季4度目となるポールポジションを獲得。決勝では一時ポジションを落として劣勢となる場面もあったが、チーム全員が攻め続ける姿勢を崩さず、最後は3位でチェッカーフラッグ。長年待ち望んでいたシリーズチャンピオンをついに勝ち獲った。

「2012年にBRZがデビューし、山野哲也さんと佐々木孝太さんにクルマを育ててもらい、そこから僕と山内選手が引き継ぎ、そして新型BRZがデビュー......。本当にいろんな思いがあって、チームのみんな、ファンのみなさんと一緒に勝ち獲れたチャンピオンだと思っています。本当に感謝の言葉しかありません。こんなに最高なことはないです」(井口)

「ここまで長い間......本当に時間がかかりました。苦労が2年、3年続いたこともありました。そんななかでも、ファンのみなさんがたくさん応援してくれたこと、チームのみんながあきらめずに努力しているのを間近で見ていました。この環境で走れることに喜びを感じながらレースができた1年でした」(山内)

 レースを終えてパルクフェルメで再会を果たした井口と山内の目には、これまでたくさん流してきた"悔し涙"ではなく、苦労が報われた"うれし涙"であふれていた。

 直後に行なわれた公式映像インタビュー。ふたりが真っ先に挙げた感謝の気持ちも、ずっと応援してくれたスバルファンたちに向けた言葉だった。

「声援は力だ」

 その合言葉のもと、スバルを愛するファンはサーキットに駆けつけ、メッセージを寄せ書きした応援フラッグを掲げ、大きな声援を送って戦った。

 スバリストの想いが、2021年の最終戦でようやく実った。

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