マクラーレン・ホンダ2年目、パワーは着実に上昇。足を引っ張っていたのはマシンのほうだった (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【マクラーレンの車体に問題?】

 2016年の開幕から3戦はQ3に進めず、ノーポイントが続いた。ただ、ホンダのパワーユニットもまだトップレベルではなかったが着実にパワーは上がり、課題であったMGU-Hの回生量もコンプレッサーのサイズ拡大によってライバルと同等レベルにまで向上してきていた。

 メルセデスAMGとは100馬力差などと揶揄されたが、「それが事実だとすれば彼らはとんでもない馬力が出ていることになるが、彼ら自身が1000馬力に到達していないと言っているから、100馬力差と言うことはない」というホンダ関係者の証言をもとにすれば、少なくともホンダはすでに900馬力以上に到達し、メルセデスAMGとの差も致命的なレベルではなかったということになる。

 開幕戦オーストラリアGPではアロンソがハースのエステバン・グティエレスのマシンに突っ込んで宙を舞い激しいクラッシュを喫したが、それも前年度とは違い、ディプロイメントが切れることなくストレートエンドまで追い詰めたからこその車速差だった。

 しかし一方、マクラーレンの車体は依然として空力的にセンシティブで、レッドブルに倣ったハイレーキコンセプトを使いこなせずにいた。

「このクルマは空力を攻めているせいか、セットアップ変更に対してセンシティブすぎるところがある。ハマれば速いんだけど、そこに持っていけるかどうかが本当に難しい。空力的な不安定さがタイヤのデグラデーション(性能低下)の大きさにつながっている」(アロンソ)

 第3戦中国GPではタイヤが保たず、ズルズルと後退を喫してしまった。

「今の実力を忠実に反映したのが、この結果だと思います。去年のようなパワーユニットのトラブルに足を引っ張られてセットアップが決まらずに力を出せないのではなく、マシンパッケージの力を出しきってこの結果ですから、そういう意味ではなおさら残念です」(長谷川F1総責任者)

 そんななかで迎えた第4戦ロシアGPで、冒頭のようにダブル入賞を果たした。

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