レッドブル・ホンダ、勝つにはすべてのパッケージに完璧が必要。残り2戦、メルセデスAMGとの差はない

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 得意としているはずの中低速コーナーでも、レッドブルに速さはなかった。最も硬いコンパウンドが投入されたタイヤをうまく使いこなせなかったことも響いた。

 実際のところ、マシンパッケージで僅差にあるレッドブルとメルセデスAMGは、マシン特性とサーキット特性の組み合わせというより、その週末いかに優れたセットアップを仕上げてマシンとタイヤの性能をフルに引き出せるかどうかで勝負が決まっている感がある。金曜から日曜にかけて、セッションごとに、はたまた決勝のなかでもタイヤごとに勢力図が変わることがあるのはそのためだ。

 そういった点で、うまく詰めきれなかったとフェルスタッペンは語る。

「いろいろとセットアップの変更をトライしてみたけど、単純にここは僕たちの有利なサーキットではなかったんだろうね。タイヤの性能を引き出しきれなければ、グリップレベルは大きく違ってしまう。

 ここ数戦は、僕らが勝ったレースですら彼らは非常に強力だった。僕のフィーリングとしては、ポイントを獲得できたレースでもそれを失っていてもおかしくなかったと思う。もっとギャップを大きくしたかったけど、速さがないときには仕方がない。次のレースでいい走りをするべく努力するだけだ」

 金曜からDRS(※)のフラップ作動に問題を抱えて走行時間を失い、土曜になっても修正しきれなかった。そのため予選直前になって、DRS問題が起きないモナコGP仕様のリアウイングをつけざるを得なかった。これもマシンセットアップを煮詰めきれなかったことにつながったのだろう。

※DRS=Drag Reduction Systemの略。追い抜きをしやすくなるドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。

 車体だけで負けたわけでもなく、パワーユニットだけで負けたわけでもなく、ドライバーだけでもなく、セットアップだけでもない。メルセデスAMGとの戦いは、あらゆる要素を完璧に近づけなければ勝てないところまで来ている。

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