ホンダF1、活動終了まで残り3戦。フェルスタッペンと角田裕毅に課せられた使命 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 メルセデスAMGのICEは新品から3〜5戦ほどでの性能低下が大きく、15kw(約20馬力)ほどの低下が見られるという。だから全メルセデスAMG製パワーユニットユーザーが同じ燃焼モード(スロットル全開時)で走っていても、ハミルトンだけは15kWのアドバンテージを持っていたことになる。ただし15kWで得られる最高速の差は微々たるものにすぎない。

 では、ホンダも新品ICEを投入して、残り3戦だけを走り切るようなアグレッシブなモードで対抗するべきではないのか?

 レッドブル内部にもそんな意見があるようだが、もともと性能劣化の少ないホンダは新品を投入しても、そのゲインはほとんどない。そしてアグレッシブなモードで走ろうにも、本来想定している以上のパワーを絞り出せば当然、骨格には想定以上の負荷がかかって壊れる。そのリスクは非常に高く、論理的に言ってあり得ない方法だと田辺テクニカルディレクターは説明する。

「(メルセデスAMGは)新品当初の出力が出て、それと同じマップで走らせると5戦目のパワーユニットは15kW低いというのがあるかも知れません。しかし我々のパワーユニットでは走行距離が数1000km進んでその差がつくかというと、つきません。ですから、現在の我々のパワーユニットの出力劣化の度合いを考えると、今のTD(予選・決勝を通して全ユーザーが同じモードを使用)に縛られているなかでは、それはまったく得策ではないということになります」

 加えてフェルスタッペンには47周目のバトルでハミルトンを押し出した際、スチュワードは「審議の必要なし」と判断したものの、その判断を下した時には入手できなかったフェルスタッペンの車載映像が決勝後にもたらされた。これを新証拠として、あらためて審議の必要性を問う動きがメルセデスAMGから出た。

 この新証拠を検証すると同時に当事者に事情聴取を行ない、スチュワードが「審議の必要あり」と判断するかもしれない。そうなれば、サンパウロGP決勝中には行なわれなかった様々な映像やデータを分析した審議が行なわれ、ペナルティの裁定が下される可能性もある。

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