ホンダ、トヨタ、日産...三つ巴でスーパーGT最終決戦。奇跡の大逆転も可能性あり

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 最終戦に向けて特に注目したいのは、2連勝を飾った8号車。前半戦は苦労することも多かったが、終盤戦になってチーム全体の歯車が噛み合いはじめ、一気に流れを迎え入れた感がある。野尻も「僕たちに守るものは何もないので、とにかく攻め続けて、相手が嫌がるような速さを予選から見せていければ、流れは作れると思います」と気合十分だ。

 これに対して、第6戦と第7戦で満足にポイントを加算できなかった1号車は、少し追い込まれたような雰囲気が漂い始めている。この2台が最終戦でどんな走りを見せるか、大きな見どころのひとつだ。

 ここまで7戦を終えて、ホンダ陣営は4勝をマーク。トヨタ勢や日産勢とのポイント差を見ても、ホンダ勢がチャンピオン獲得に有利と言える状況だ。だが、ホンダの佐伯昌浩ラージプロジェクトリーダーは慎重なスタンスを崩さない。

「ランキングではNSX-GTが3台(1号車、8号車、17号車)上位に並んでシリーズ最終戦を迎えることになりましたが、今のスーパーGTは1ポイントを獲得することさえ難しい、非常に激しいレース。決して楽観はできません。今回のレースを精査して最終戦に備えます」

 やはり気になるのは、第8戦でのライバルのパフォーマンスだろう。最終戦の開催地・富士スピードウェイは「トヨタが圧倒的に強い」と言われている。さらに最終戦では、サクセスウェイトが全車ゼロになる。今季の開幕戦のようなノーウェイト勝負のレースを振り返ると、トヨタが上位を独占している。

 となると、現在ランキング5位につける関口雄飛/坪井翔(ナンバー36/au TOM'S GR Supra)の大逆転劇も十分に考えられる。

 富士スピードウェイで行なわれた第2戦で、36号車は終盤トップを快走しながらもトラブルで戦線離脱を余儀なくされた。だが、結果は残らなかったものの、非常に力強い走りを見せていたのが印象的だった。この最終戦で勝利し、2位以下もトヨタのマシンが独占するという展開になれば、奇跡の逆転王座獲得も現実になるかもしれない。

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