レッドブル・ホンダ、勝負を賭けたターン1。フェルスタッペンは一瞬の隙を見逃さなかった (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 僕がブレーキを踏んだポイントは、かなりギリギリのところだということもわかっていた。ターン1の出口では白線ギリギリまで膨らんだけど、もしイン側の誰かがあのくらいブレーキを遅らせれば、間違いなく曲がりきれなかっただろう。そのくらい僕はあそこで勝負を賭けて、それがうまくいった」

 フェルスタッペンはイン側のメルセデスAMG勢をアウト側から一気に抜き去り、トップに立った。

 そこからはフェルスタッペンの独擅場だった。ハミルトンはついていくことができず、ペレスに対して防戦一方となった。

 フェルスタッペンはタイヤをオーバーヒートさせないよう、長いストレートエンドでリフト&コーストと呼ばれるスロットルオフを行ない、丁寧にタイヤを使っていった。前戦アメリカGPの第2スティントで攻めすぎて予定よりも早くタイヤを終わらせてしまった教訓が、しっかりと生かされた成熟のドライビングだった。

「あのターン1の飛び込みでトップに立てたのが、今日の僕にとってものすごく重要なポイントだった。あとはかなりの速さがあったし、自分のペースで走るだけだったね」

 金曜フリー走行では順調な滑り出しを見せながらも、予選では振るわずメルセデスAMG勢にフロントロウを独占されてしまった。

 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)との交錯でQ3最後のアタックを完遂できなかったこともあった。だがそれ以前に、ソフトタイヤのグリップを十分に引き出し切れていなかったのが主たる要因だった。

 それによってレッドブルがパフォーマンスを低下させたのに対し、メルセデスAMGはタイヤをうまく使いこなしてタイムを向上させてきた。その結果として、予選での逆転現象が起きたのだ。

 しかし決勝では、再びレッドブル・ホンダが大きく上回って見せた。メルセデスAMGはマシパッケージで大きな後れを取っていることを認識し、「本来ならば3位を確保するのが精一杯のマシン」(トト・ウォルフ代表)というなかでダメージリミテーションのレースに徹していた。フェルスタッペンとの勝負ではなく、ペレスを抑え込んで2位を死守することに専念するレースになった。

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