角田裕毅「簡単なレースにはならない」。富士山5号目の標高で初レース、ホンダの高性能ターボは有利となるか (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 ただし、それが今年も保たれているかどうかはわからない。

 ホンダ自身のターボ性能のよさに変わりはないが、相対的な性能差はライバル次第だからだ。ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターはこう語る。

「今年は新骨格のICEに合わせて、ターボにも手を入れてきています。全体的に高効率で性能を上げていますので、(今年のメキシコでも)悪くはないと思っています。

 ただし、ライバルがどう改良してきているか、平地に対応する改良だけでなく高地に対する改良をどのようにしてきているのか、わかりません。今年ここまでの戦いをみてもわかるように、絶対優位というのはありませんし、過去に優位だったからといっても走ってみなければわからないと思っています」

 メキシコといえば2015年の復活以来、伝統的にレッドブルが得意としてきたレースだ。それは長いストレートの見た目とは裏腹に、実際には極めてコンパクトでツイスティな中低速コーナーで構成されるサーキットだからでもある。

 初めてここを走る角田も、シミュレーターで走った印象は特殊だったという。

「シミュレーターや車載映像を見ても、メキシコは普通のサーキットとは違ってかなり特殊です。特にセクター1はかなりタイトで、90度コーナーや低速コーナーがたくさんあります。なかには60〜70km/hのコーナーもあるほど。標高の高さのせいで空気が薄く、ダウンフォースがかなり少ないということも聞いているので楽しみにしていますが、僕にとっては簡単なレースにはならないと思います」

 見た目に反して、実はモナコのような特性を持つ。そこに空気の薄さとパワーユニットへの特殊な要求が重なり合うのが、アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスだ。

 今年はセルジオ・ペレスがレッドブル・ホンダをドライブし、すでに1勝を挙げて2戦連続で表彰台を獲得しての凱旋。彼にとっても昨年初優勝を挙げて以来、グランプリウィナーとして母国に凱旋するのはこれが初めてのことになる。

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