スバルが強いのはWRCだけじゃない。スーパーGTで初の年間王者なるか

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 第1戦・岡山は15位に沈み、ポイントを獲得することができなかった。だが、第2戦・富士では予選でポールポジションを勝ち取ると、決勝でも最後までトップ争いを繰り広げて2位表彰台を飾った。

 今季3レース目となる第4戦・もてぎでは、新しい試みを行なったことが裏目に出て予選から大苦戦。決勝で追い上げを見せるも11位でまたもポイントに届かず。さらに、コロナ禍の影響で8月に延期された第3戦・鈴鹿では再びポールポジションを獲得するも、決勝では課題とするレースペースで苦しんで10位という結果に終わった。

 だが、今季の61号車はこのまま崩れてしまうことはなかった。

「新型のBRZになって、いい部分はたくさんあるんですけど、決勝レースでは課題が残っている状況でした。ただ、鈴鹿が終わってからオートポリスでタイヤテストをする機会があったので、クルマのセッティングを重点的にトライしました。改善できたところもあったので、それを実戦でトライしていく」(井口)

 9月の第5戦・SUGO。あきらめずに試行錯誤してきたことが、ついに結果として表れる。

 予選ではライバルに0.3秒以上の大差をつけて、今季3度目のポールポジションを獲得。ここまでは思い描いていたとおりの展開となる。そして決勝レース、前半スティントを担当した井口はトップの座を守りながら着実に後続を引き離し、後半担当の山内へバトンを託した。

 その後、他車のアクシデントによってセーフティカーが導入。5秒近くあったリードがリセットされる事態となった。しかし、レース終盤は再び後続を引き離す強い走りで2番手に11.4秒の差をつけて、スバルに3年ぶりの勝利をもたらした。

「ようやく新型BRZの強さを見せられたので、スタートラインに立てたなというホッとした気持ちが強いです。今回の優勝で、スバルも、チームも、ドライバーも、タイヤメーカーさんも、少しは気持ちが楽になったと思う。残りのレース、ひと皮向けた感じで挑んでいけます」(井口)

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