レッドブル・ホンダを救った「恵みの雨」と「正しい決断」。濡れた路面でピカイチの速さを見せた (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 あとになってみれば、ミディアムでスタートするほうがいい戦略だったかもしれない。今日のグレイニング(表面がささくれ立つ状態)が出てしまうタイヤの状況では、僕らにやれることはそんなに多くはなかった。だから最後尾から追い上げて、最後は雨が降ってきた時に正しい決断をできてよかった」

 タイヤのグレイニングが収まればグリップが回復し、アロンソを抜いて6位でフィニッシュできたかもしれない。だが、優勝争いをするハミルトンとの差は大きく広がるはずだった。

 しかし、急に降り出した雨によって、フェルスタッペンはハミルトンより1周早く動き、インターミディエイトに履き替えて一気にポジションを上げた。後方からの追い抜きのために誰よりも薄いリアウイングを装着していたにもかかわらず、濡れた路面での速さはピカイチだった。

「(ドライとインターミディエイトの)クロスオーバーにある時、我々は常にドライバーのコールに委ねている。どれだけのグリップを感じているのか、コンディションがどのような状態なのか、ドライバーが最もよくわかっているからね。

 ドライバーが、インターミディエイトが必要だと感じたところで交換する。クロスオーバーはドライバー次第で、今日のマックスは正しい決断を下した」(クリスチャン・ホーナー代表)

 すべてがうまくいったとしても、ドライコンディションのレースでは5位が最大限、いうのがレッドブルのレース前予測だった。しかし、雨を味方につけたことで2位を掴み獲り、フェルスタッペンはハミルトンのわずか2点差にとどまることができた。

「最後尾スタートから2位まで挽回できたのは本当によかった。オーバーテイクはかなり難しかったし、DRSトレインにスタックしてしまうと(乱流の影響で)簡単にタイヤを傷めてしまうので、決してイージーなレースではなかった、だけど幸運なことに、最後に雨が僕らのジャンプアップを助けてくれた。

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