日本人F1カメラマンが見た超一流ドライバーの素顔。レースで本当にすごいと思うのは誰か (2ページ目)

  • 川原田 剛●文 text by Kawarada Tsuyoshi

ーーイギリスGPでのハミルトンとフェルスタッペンのクラッシュ以降、両選手の対立関係がはっきりしてきました。サーキットで接するふたりはどんな印象ですか?

熱田 ハミルトンとフェルスタッペンのコース上での力関係は互角だと思いますが、ハミルトンが明らかに勝っている点がファンやメディアに対して「見せる」という部分です。そこは本当にうまい。マシンを降りてどんな態度やポーズをすればどんなふうに自分が映るのかというのを常に意識して行動しています。逆にフェルスタッペンはあまりファンサービスをしたり、感情をあらわにしたりすることはないですね。アゼルバイジャンGPでゴール目前にタイヤがパンクしてクラッシュし、マシンを降りたあとにタイヤを蹴ったシーンは本人の気持ちが出てよかったと思いますが、ハミルトンみたいなパフォーマンスはしません。ハミルトンは表彰台で上半身裸になっちゃうぐらいですから(※2018年最終戦アブダビGP)。あのシーンは忘れられません。

桜井 フェルスタッペンに限らず、ハミルトン以外のドライバーはファンの前でパフォーマンスしないですね。あまりメリットを感じていないんですかね。でもファンを味方につけるのは大事だと思いますので、フェルスタッペンも母国のオランダGP(決勝9月5日)で勝ったら、何かやってほしいですね。

ーー今年8度目のタイトルを狙うハミルトンは現在36歳ですが、まだまだ衰えは感じませんか?

桜井 ハンガリーGPの表彰台ではかなり疲れた表情を見せていましたね。昨年12月に感染した新型コロナウイルスの後遺症と言われていますが、少なくともドライビングに関しては全然衰えを感じませんね。

熱田 まったく問題ないでしょう。ハミルトンの上半身はバキバキに鍛え上げられ、特に上腕はすごく太くなっています。デビュー当初は華奢な印象でしたが、最近のフィジカル面での進化はすごいです。だからハンガリーの表彰台でフラフラしていたのは正直、信じられないです。

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