強いGT-Rが帰って来た。スーパーGT後半戦はホンダ、トヨタ、日産の三つ巴 (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 23号車は序盤、ピットストップのタイミングが合わなくて2番手から4番手に後退してしまう。だが、そこから渾身の走りで前方のマシンを次々とパスし、トップを走るCRAFTSPORTS MOTUL GT-R(ナンバー3)の背後に迫った。

 そして残り11周となった時、3号車がGT300車両に引っかかった一瞬の隙を見逃さなかった。松田は一気に勝負に出て、ヘアピンで追い抜きに成功。最後はそのまま逃げ切り、今季初優勝を飾った。

「ピットの作戦が若干失敗したなという感じはあったんですけど、それでも挽回していくことができました。クルマとタイヤが本当によかったですし、チームのみんなの『勝ちたい!』という気持ちが僕の走りにつながった。本当にみんなに感謝しています」(松田)

 三重県出身の松田にとって、鈴鹿は地元コース。年間チャンピオン争いのことを考えると、この1戦は是が非でも勝利を手にする必要があった。それらのプレッシャーにも屈しなかった走りに、2014年から松田とコンビを組むロニー・クインタレッリも驚いていた。

「次生選手の走りはすばらしかった。彼とはもう8年も組んでいますが、久しぶりにドキドキを味わいました。本当にとんでもない走りだったと思います。彼を褒めてあげてください」(クインタレッリ)

 23号車はシーズン序盤、散々なアクシデントに見舞われてきた。第1戦・岡山では他車との接触でリタイアとなり、続く第2戦・富士ではスタート後数周でエンジントラブル。昨年から得意としている今回の鈴鹿サーキットでの勝利は、後半戦に向けた起爆剤となり得るはずだ。

 そしてなにより、モータースポーツファンにとってうれしいのは、日産勢の全車が高いパフォーマンスを示したことだろう。2位には平手晃平/千代勝正の3号車、3位には高星明誠/佐々木大樹のリアライズコーポレーションADVAN GT-R(ナンバー24)が入った。

 日産陣営が表彰台を独占したのは、2014年の第3戦オートポリス以来。実に7年ぶりの快挙だ。レース後、日産のブランドを背負ってきたドライバーたちから、自然と笑顔がこぼれていた。

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