中野信治も驚いた元世界王者ふたりの活躍。今季F1でベテランはなぜ再起できたのか?

  • 川原田 剛●文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo

 それはアロンソも一緒ですね。ほんの些細なことがきっかけなんです。"ああ、自分はまだできる"と感じることができた瞬間に、集中力が増して最高の力を発揮できる"ゾーン"に入っているんだと思います。

 しかもアロンソはとにかく負けず嫌い。それが遺憾なく発揮されるのがスタートやオーバーテイクの時ですね。うまいし、周りがよく見えていますし、何よりも気持ちが強い。40歳になっても闘争心や体力に衰えが一切感じられません。"バケモン"ですよね。

 もともと能力が圧倒的に高かったからこそ、今も活躍できるというのもあると思うのですが、F1を離れて3年が経っています。アロンソといえども、F1のトップレベルのスピードを取り戻すまでには結構苦しむと予想していました。でもシーズン中盤に入って、速さを取り戻してきたことに、正直驚いています。

 アロンソのすごさはチャレンジャーであり続けること。F1で2度も世界王者になったら、なかなかインディ500やルマン24時間レースなどの別カテゴリーのレースには挑戦しません。ダメだったらどうしようと考えてしまうのが普通ですが、彼はそんなことは関係ありません。畑違いのダカールラリーにまで参戦しています。しかも当然、勝つつもりで走っています。そのチャレンジ精神には敬服します。本物のレーサーであり、ファイターです。

 自分のレース人生の中であれだけいろんなチャレンジをし、楽しんでいます。最高ですよね。多くのドライバーが彼をリスペクトして、僕もそのひとりです。だからこそアロンソは他のドライバーとすごいバトルができるという側面があります。

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