角田裕毅、イギリスGPで話題の「スプリント予選」の影響は「マシンの速さを引き出す点で不利」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 もちろんパワーユニットも、予選以降はセットアップを変えることができない。よって、パワーユニットにかかる負荷を考慮しつつも、最大限の性能を発揮するセットアップを仕上げなければならない。ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターはこう語る。

「通常3回のフリー走行で最適化を図って煮詰めるセットアップを、FP1の60分だけで進めなければなりません。我々エンジニアとしては、大きなチャレンジになります。その点に関しても、チーム側と情報共有をしながら準備を進めてきました。

 事前シミュレーションはしていますが、現実世界で走る時間が短いだけに、考え得るセットアップを準備しておいて、迅速にセットアップを変更しながら1時間を有効に使う形になります。今までのように『1日目はよくなかったけどFP3で良くなった』というようなことを言っている場合じゃなくなるわけですから、非常に大変です」

 レッドブル・ホンダにとっては、5連勝からの新たなチャレンジとなる。

 シルバーストンは、ライバルのメルセデスAMGとルイス・ハミルトンが圧倒的に得意とするサーキットだ。今週末は、彼らが大きなアップデートを投入してくると言われている。

 ハミルトンは「アップグレードが入るのは確かだけど、ここ数戦の(レッドブルとの)差を考えると、そんなに大きなものではない。後押しになることは間違いないけどね」と言うものの、FP1だけでセットアップを煮詰める難しさも含めて、レッドブル・ホンダにとっては難しいレース週末になりそうだ。

「彼らはアップグレードを投入してくるから、それがきちんと機能すれば当然ながら差は縮まるだろう」

 しかし、フェルスタッペンは動じていないようだ。なるようにしかならない。そのなかで1ポイントでも多く獲りに行く。彼はすでに押しも押されもしないトップドライバーであり、チャンピオンシップのことを考えて戦う存在へと変貌を遂げている。

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