角田裕毅、イギリスGPで話題の「スプリント予選」の影響は「マシンの速さを引き出す点で不利」

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 金曜に60分間のフリー走行を行なった2時間半後に、いつも土曜に行なわれている予選が行なわれる。角田のような経験の浅いドライバーにとっては、マシンとサーキットを習熟する時間がほとんどなく極めて不利だ。

 レッドブル・リンクでの2連戦(第8戦シュタイアーマルクGP、第9戦オーストリアGP)では、FP1から3回のフリー走行を使って一歩ずつ詰めていき、予選で結果を出すというアプローチを採用して、一定の成果を上げた。その手法が使えないのだ。

「それまでは、少しでも自信が持てたり、セットアップを変えるとすぐにプッシュしてしまっていて、F2までの下位カテゴリーではそれがうまく機能していたんですが、F1ではうまくいかなかったり、リスクをはらんでいることに気づきました。なので、フリー走行から予選までレース週末全体を通して一歩ずつ前進して自信をビルドアップしていく方法に変えて、それができてからプッシュするようにしたんです。

 でも、今週末はフリー走行が1回しかなくて予選に臨まなければならないので、オーストリアGPでうまくいった(セッションごとに予選に向けて前進していくという)アプローチの仕方が使えません。FP1で走っただけですぐに予選でパフォーマンスを発揮しなければならないのは、かなり難しくてタフなことだと思います」

 スケジュールの変更はドライバーだけでなく、チームにとっても高いハードルになる。ひとたび予選を走り始めると、それ以降はマシンのセットアップを変更することは許されないからだ。たったの60分間のフリー走行だけで予選、スプリント予選、決勝をカバーするセットアップを仕上げなければならない。

 FP1の60分間を、いかに効率的に使うか。ファクトリーでは開発ドライバーが運転するシミュレーターやコンピュータによるシミュレーションを駆使し、実走データから最適なセットアップを予選までの2時間半の間に見つけ出すという課題に迫られる。

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