角田裕毅、次戦に自信。レッドブルの重鎮からの「金言」を胸に刻んだ

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 自信を固めることになったことが、バクーの結果につながったと思います。そうは言ってもまだ時々、深夜2時までゲームをしてしまったりするので(笑)、もっと強い自制心が必要ですね」

 そうやって、週末に向けた角田の心の持ち方は変わった。マシンに対する技術的理解も進み、セッションの使い方やエンジニアとのマシンの作り上げ方も変わった。

 コンクリートウォールに囲まれた市街地サーキットのモナコやバクーではミスが許されず、初めてのサーキットということもあって、リスクを冒して攻めることは難しかった。しかし、ポール・リカールは2年前のFIA F3時代に走った経験のあるサーキットだ。ランオフエリアは広く、多少のコースオフではマシンを壊すようなこともない。

 つまり、角田にとっては、いろんなことを試す絶好のチャンスだ。

「今回はランオフエリアが広いので、ウォールに突っ込む可能性は低いでしょう(笑)。サーキットも違えばマシンの(相対的な)パフォーマンスもわからないので、どんな週末になるかわかりません。バクーのようなパフォーマンスがあれば、走り始めからプッシュしてQ3に進みたい。予選でもっと上位を獲得して、決勝でさらに多くのポイントを獲得できればと思っています」

 もちろん、チャンスの時ほど油断は生まれる。我を忘れる悪いクセを出さないよう、目の前のセッションでやるべきことを意識し、確実にそれをこなさなければならない。

 バクーでは同じような実力のマシンに乗るドライバーたちと戦い、互角の走りを見せた。しかし、ここ一番の勝負どころで敗れて7位に終わった。また、同僚のピエール・ガスリーが表彰台に立ったことも、角田にとってはいい刺激になると同時に、自分に足りていないものを痛感することになったはずだ。

 フランスGPのコースは勝手知ったるサーキットだけに、これまでの6戦でまだ一度もできていない、ミスなく3日間を戦い抜くクリーンな週末を見せてほしい。それはF1ドライバーにとって欠かせない要素であり、それができれば角田にとってはさらに大きなステップとなるはずだ。

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