レッドブル・ホンダ、余裕でワンツー体制を築いた速さ。メルセデスAMGと実力互角だ (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 発進加速でハミルトンが並びかけ、首位を奪われたかに思われた。しかし、ハミルトンはステアリング裏のボタン誤操作でブレーキバランスを変えてしまい、ターン1のブレーキングで激しくロック。これでなんと、ハミルトンは2位から最後尾へと落ちた。

 結果、ペレスはマシンに不安を抱えて圧倒的に不利な状況から、まさかの今季初優勝を掴み取ることになった。

「スイートな気分だよ。僕にこのチャンスをくれたチームのみんなに感謝している。シーズン序盤は願ったとおりのスタートにならなかったけど、チームへの適応は思った以上に難しかったんだ。それでも僕らは本当にこのうえなく懸命に努力し、ついにこうしてすばらしい結果を手にすることができた」

 優勝という結果自体は、フェルスタッペンに起きた不運によるものだ。しかし、ペレスがRB16Bの特性を掴み、決勝のみならず予選でも速さを完成させつつあることも、また事実だ。

「今週末の彼はずっと速くて、唯一のミスはQ3の1回目のアタックランだけ。今日のレースペースも非常にすばらしかった。もう少し第1スティントを伸ばしていれば、マックス(フェルスタッペン)をオーバーカットして前に立っていてもおかしくないほどだった。

 クリーンエアでのペースはそのくらい速く、その後はルイスを抑えながらコントロールしてすばらしい走りを見せた。今日の勝利は、彼の自信をさらに深めてくれるだろう。我々の予想を上回る速さで順応してきているよ」(ホーナー代表)

 ペレスは2位を堅守してハミルトンに対する壁となり、メルセデスAMGに戦略の選択肢を与えなかった。レッドブルはついに2台体制で優勝争いの戦略バトルをする環境を手に入れたのだ。その意味で、ペレスの躍進は極めて大きな意味を持つ。

 メルセデスAMG勢の自滅もあって、フェルスタッペンはドライバーズ選手権首位の座を守り、レッドブルはコンストラクターズ選手権のリードを26点に広げ、夏のヨーロッパ高速連戦に戻ることになる。

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