角田裕毅、F1キャリア台無しの危機。もうクラッシュは許されない
ともに過ごす時間を増やすことで、お互いの理解を深め、焦る気持ちを落ち着かせるためだ。結果、クルマに関する技術面への理解も深まり、自分がやるべきことを理解したり新たなアプローチを発見することもできる。
そもそもミルトンキーンズに住んでいたのは、レッドブルのシミュレーターでより多くの時間を過ごすためだった。だが、それを捨ててでも今の角田に必要なのは、チームとのコミュニケーションと、それによるマシンへの技術的理解、そして何より心の平穏だと判断されたわけだ。
事実、先週はほぼ毎日ファクトリーに通い、担当レースエンジニアのマティア・スピニらとミーティングを重ねてきた。それによって、アゼルバイジャンGPにはこれまでと異なる手法も用意しているという。
「今週末のレースに向けて、これまでと少し違う準備の仕方をしてきました。僕にとってはまったく新しいサーキットですし、これまでのレースとはかなり違うことをやるので、それがうまく機能してくれればと思っています。楽しみです」
もちろん、クラッシュが許されないのはモナコGPと同じだ。
厳密に言えば、予選や予選想定のアタックラップで最後に限界を試してクラッシュしてしまうことに対しては、誰も怒りはしないだろう。問題は、たった3時間しかない計3回のフリー走行のなかでマシンとサーキットの限界を把握していき、予選のフルアタックに向けて完璧なドライビングを仕上げられるかどうかだ。
「モナコと同様に初体験の市街地サーキットなので、予選までにクルマとサーキットに対して自信を掴む必要があります。2週間前のモナコGPのようにFP2でウォールにクラッシュしたくはありませんし、そんなことがないように予選に向けて自信をビルドアップしていきたいと思います」
モナコではFP2の予選想定ランの前にクラッシュしたことで、予選に向けた準備と自信の構築に大きな後れを取った。そして「予選が9割」と言われるモナコで予選を存分に走ることができず、16番グリッドスタートでは決勝でできることも限られていた。
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