ホンダF1が30年ぶりに首位。モナコGPで完勝、勝敗を分けたライバルとの差

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 対して、メルセデスAMGはタイヤの温度管理に極めて苦労し、タイヤのグリップを引き出せなかった。ルイス・ハミルトンは予選7位に沈み、決勝でも全車に先駆けてピットインしたことで"モナコの定石"の戦略を採ったセルジオ・ペレス(レッドブル)やセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)に逆転されて、7位でレースを終えることになった。

 序盤に2位を走ったバルテリ・ボッタスも、タイヤのタレは早かった、早々にピットインするも作業ミスによりホイールナットの山をなめてしまい、タイヤ交換ができなくなってリタイアを余儀なくされた。

 ライバルたちが次々と脱落していくなか、フェルスタッペンだけが完璧なレースを続けて78周を走り切った。

「バルテリ(ボッタス)はある時点からタイヤに苦しみ始めて、先にピットインせざるを得なくなった。外から見ればスムーズなレースに見えたかもしれないけど、これだけの長丁場でコンセントレーションを保ち続けるのは大変だったので、こうして勝ててとてもうれしいよ」

 レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表も、フェルスタッペンの完璧なレースコントロールを賞賛している。

「フェラーリやメルセデスAMGの不運もあったが、マックスはスタートからレースを非常にうまくコントロールしていたし、今日の午後はまさに文字どおり、すべてを支配下に置いていた。速く走る必要がある時には速く、そうでない時にはタイヤを非常にうまくいたわりながら走っていた。本当にすばらしいパフォーマンスだったよ」

 ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターも、すべてが想定どおりに機能し、チーム全体としても余裕を持った完璧なレースだったと振り返った。

「想定内でのマシンバランス、タイヤデグラデーション(性能低下)、エンジンのクーリング、すべてが正常な想定内でことが運んだレースでした。ライバルにとっては不運でしたが、逆に言えば我々にも何が起こっていてもおかしくなかったわけですから、裏では『こういうことが起きたらこうしよう』と話しながらレースを進めていました。(ライバルの不運が)なかったとしても、そんなに結果は変わらなかったかなという気もします」

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