角田裕毅、モナコ初走行。1ミリの差でクラッシュする恐怖に打ち勝てるか (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 そのためにも、走行時間を失うことは避けたい。

 今年からフリー走行は1セッション60分と短くなっただけに、1周でも多く走り込まなければならない。一度でもタイヤをロックさせたり、集中力を欠いたドライビングで白線を越えたりすれば、クラッシュが待っている。となればドライバーはたちまち自信を失い、さらには走行時間も大きく失ってしまう。

 角田はここまで何度か、無意識のうちにそんなミスを犯してきた。それだけに、このモナコでは絶対に同じ轍は踏まないと言い聞かせている。

「プッシュしすぎると、その瞬間に壁に突っ込むことになる。少しずつビルドアップしていくことが最も重要です。そのためにはFP1からFP2、FP3と、クリーンなセッションを過ごしていくことが重要で、そうやって予選に向けて仕上げていきたいと思っています」

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 角田が予選で何番手に行けるかは、中団グループにおけるアルファタウリの相対的な競争力に大きく左右される。大接戦の中団だけに、0.1秒で順位はいくつも変わってきてしまう。

 まず気にするべきは順位ではなく、初のモナコで堅実な走りができるかどうか。そしてスペインGPでの反省を生かせるかどうかだ。今の角田に求められるのは目の前の結果ではなく、自分が犯したミスから学び、成長することだろう。

 同じミスはもう許されない。そのことは角田自身が一番よくわかっているはずだ。

 いかにモナコがグランプリの華と称されようとも、ドライバーたちにとってそこは「ガードレールに囲まれた戦場」でしかない。そこを勝ち抜いたものだけが、ほかのどのグランプリも大きな賞賛を与えられる。それが、モナコという場所なのだ。

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