角田裕毅、モナコ初走行。1ミリの差でクラッシュする恐怖に打ち勝てるか

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 通常のグランプリサーキットとは大きく異なり、モナコでは最も長いストレートでも全開時間は約7秒しかなく、最高速は290km/h程度にしか達しない。

 コーナーはほぼすべてが中速・低速コーナーで、イモラではひとつもなかった通過速度が100km/hを下回るコーナーが7つもある。逆に150km/h以上のコーナーは、マスネとタバコの2つのみだ。

 この低速コーナーの連続が、マシンのみならずパワーユニットにも通常とは異なる要求を突きつける。ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターはこう語る。

「非常にタイトなコーナーが多いので、パワーユニットとしてはドライバビリティが大きなカギを握る要素になると思います。なによりドライバーの要求にきちんとついてくるパワーユニットが必要です。

 過去のサーキットでもそれなりに低速コーナーはありますが、モナコはさらに下がります。ということで過去のデータを参考にしつつ、さらに低い回転数のところも視野に入れ、必要に応じてキャリブレーションをチューニングしたものを準備してフリー走行に臨んでいます」

 長らくメルセデスAMG製パワーユニットをドライブしてきたセルジオ・ペレスからの情報や他ドライバーたちからのリクエストを受け、ホンダは2021年型RA621Hの低回転域からのトルクデリバリーを改良してきたという。

「ペレス選手からのインプット(メルセデスAMG製パワーユニットとの比較)で、まだ我々のパワーユニットにも改善する余地があることはわかっています。それは車体との組み合わせで出てくるところでもあるのですが、それに関して向上できるよう努力しています。

 今年のパワーユニットの低速コーナーからのトルクデリバリー、ドライバビリティに関して、ほかのドライバーから『もう少しこうしたほうがいいよ』という話も出ています。それらの対策案を持って、木曜の走行から臨みます」

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