演歌のプリンスはレーサーとの二刀流。中澤卓也は常在戦場で夢を目指す (2ページ目)

  • 川原田 剛●構成 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 村上庄吾●撮影 photo by Murakami Shogo

レースについて楽しそうに語る中澤レースについて楽しそうに語る中澤 だからサーキットを訪れる1カ月前から、移動時間や歌番組の楽屋でも新東京サーキットに乗った人たちのオンボード映像を見まくって、どこでブレーキとアクセルを踏んで、どんなラインを採っているのかを研究し、全部、頭に叩き込みました。自分の中でシミュレーションしてから、サーキットに向かいました。

 ステアリングを握ってコースで2、3周したら、レーサーを目指していた時の感覚や闘争心など、すべて蘇ってきました。9歳でレーシングカートを始めたのですが、やっぱり小さい頃から続け、身体に染みついているものは消えないんですよね。タイムもよくて、レース関係の方たちが「速いね」と興味持ってくれて。レースをしたいという気持ちがもう止められなくなりました(笑)。

 それから定期的に新東京サーキットに通うようになり、最近では富士スピードウェイに走りに行って、コースライセンスを取得しました。新東京サーキットにはプロのレーシングドライバーが時々練習に来ていますが、そこで昨年度のスーパーGT300クラスのチャンピオン藤波清斗選手とお会いする機会がありました。

 僕はその時、ミッション付きのカートを初めてドライブして、まずまずのタイムを出すことができました。すると藤波さんが、僕が走っていたマシンに乗ってくれたのです。僕より全然速いだろうと思っていたら、なかなか僕のタイムを上回れなかったんです。最終的には藤波さんが僕よりもコンマ2秒ほど速いタイムを出しましたが、僕の走りを認めてくれ、「本格的にレースに出ないか」という話を持ってきてくれました。

 藤波さんとつながりがある方が来年、入門用の4輪レース「Vita(ヴィータ)」に出場するためにチームを作るので、そのドライバーをやってくれないか、と。自分の速さを買ってくれる人がいたのはすごくうれしいですね。

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