角田裕毅の感情爆発はなぜ起きたのか。ルクレールの言葉や王者のメンタリティに学ぶべきこと (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

「同じセットアップで走っていても(ガスリーとのフィードバックは)ほとんど真逆と言ってもいいくらいに違います。その点には常に大きなクエスチョンマークがあって。もちろん同じ(AT02という)クルマなんですけど、本当にこの2台が同じなのかと疑ってしまうくらい、キャラクターがあまりに違うんです。

 ドライビングスタイルの違いのせいで、そういうフィードバックになっているのかもしれません。でも、現時点ではハッキリとしたことはわかっていませんし、なぜこんなにマシン挙動に苦しんでいるのか、何が起きているのかが理解できていません」

 マシンを100パーセント疑っているというわけではない。ドライビングスタイルが違うからこそマシンに求めるものも違い、それゆえにマシンに対するフィードバックが異なっているのかもしれないという可能性もきちんと伝えた。しかし、そのニュアンスが正確に伝わったとは言いがたく、ガスリーと同じマシンなのかという疑いの声として報じられてしまった。

 とはいえ、角田のなかでマシンに対する違和感がつのっていることは確かだ。

「マシンバランスはかなりいいです。セットアップ面ではスイートスポットに入っていると思います。あとはタイヤ温度などすべての要素をうまくまとめ上げれば、いいタイムが出せると思います」

 金曜フリー走行では、こう話していた。にもかかわらず土曜午前のFP3では、アンダーステアが強くコーナリング中にフロントが逃げていくようなマシン挙動に苛立ちをつのらせ、無線で声を荒げてレースエンジニアのマティア・スピニに「裕毅、落ち着け」とたしなめられる場面もあった。

 予選Q1でも、ガスリーが1回目のアタックで上位タイムを記録したのに対し、角田は2セット目のタイヤを投入せざるを得なかった。ターン5までは同等のタイムで、セクター2のターン12までは0.1〜0.2秒落ちで来ていたにもかかわらず、ターン12の出口でグラベルにタイヤを落とし、その先のターン13出口から最終シケインで0.2秒を失ってしまった。

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