スーパーGT序盤はホンダとトヨタが白熱の大接戦。日産の巻き返しは? (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 31周目、予選3番手だった立川祐路/石浦宏明組のZENT CERUMO GR Supra(ナンバー38)の左後輪が外れてしまい、タイヤがコース脇に残ってしまう事態が発生。このトラブルにより、さっそくFCYが発動される。

 その時は、ちょうど1回目のピットインタイミングだった。しかしFCYが発動されたため、各車ともピットインはできない。そんななか、1回目のピットストップをすでに終えていた17号車は前方との距離を一気に縮め、ライバルがFCY解除後にピットインしている間にトップへと浮上したのだ。

 レース後半、トヨタ勢が後方からバトルを仕掛けるも、17号車は最後までミスのない走りでトップの座をキープ。1位から4位までがわずか1.5秒以内でゴールするという大接戦を制し、17号車が今季初勝利を手にした。

 2位は大嶋和也/山下健太組のENEOS X PRIME GR Supra(ナンバー14)、3位は平川亮/阪口晴南組のKeePer TOM'S GR Supra(ナンバー37)。さらにトラブルでレース終盤に脱落してしまったものの、関口雄飛/坪井翔組のau TOM'S GR Supra(ナンバー36)も30kgのサクセスウェイトを積みながらトップ争いを演じる速さを見せていた。

 重いサクセスウェイトを積んでいるにもかかわらず、上位に食い込んでくるトヨタの底力を痛感させられたレースでもあった。しかし、ホンダにとっても今後に向けて好材料となる要素が見られた。

 それは、2020年王者である牧野任祐の復活だ。今シーズンも開幕から山本尚貴とともにSTANLEY NSX-GT(ナンバー1)をドライブする予定だったが、昨年12月に髄膜炎を発症。シーズンオフは治療に専念して早期復帰を望んでいたものの、開幕戦には間に合わずに第2戦・富士からの復帰となった。

 決勝ではチームのベストタイムを叩き出したほか、キレのあるオーバーテイクも見せるなど、ブランクをまったく感じさせない力強い走りを披露。Q1のミスで最後尾スタートながらも決勝4位と、見事な挽回劇でポイントを奪取した。

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