角田裕毅、初めてF1の壁に直面。うぬぼれていたことに気がついた

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY, Yoneya Mineoki

 課題となるのはやはり、ピレリタイヤを労わりながらいかに攻めるか、という点だ。これについて、まだ明確な答えは見えていないものの、バルセロナの週末でしっかりと把握するためにピレリタイヤをいじめ抜くつもりだと岩佐は語る。

「バルセロナのテストでは、一発ではいいレベルに行けたものの、ロングランが少し課題でした。アグレッシブさとタイヤマネジメントのバランスの取り方を探りながらやっていて、まだいいポイントがわかっているわけではないんです。開幕戦は攻めすぎなくらいで行ったほうが今後のレースにつなげていけると思っているので、タイヤマネジメントに関しても攻めの姿勢で行きたいなと思っています」

 岩佐は今季のFIA F3王者をターゲットに掲げ、角田と同じように1年でFIA F3を卒業してF2へとステップアップする青写真を描いている。もちろん、レッドブルジュニアの一員としてF1を目指す激しい競争にも勝ち抜いていくつもりだ。

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 話をF1に戻そう。レッドブル・ホンダは前戦ポルトガルGPで低グリップ路面に泣き、2位・4位という結果に終わった。

 しかし、あらゆる要素が詰め込まれたハイグリップで標準的な路面のバルセロナでは、マシンパッケージとしての総合力が問われる。過去のデータも豊富にあるため、自分たちの何が強みで弱点がどこにあるのかも、はっきりと突きつけられるだろう。

 特徴的かつ過去データの乏しいサーキットで行なわれた開幕3戦では見えてこなかったものが、このバルセロナでは克明に見えてくる。ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターはこう語る。

「バルセロナは毎年開幕前テストとレースで走っているので、自分たちの定規(様々な速度域のコーナーでの比較基準)を持っていますから、徐々に改良を加えてきたマシンのいろんな要素の強み・弱みが見えてくる。ここでいきなり状況が大きく変わるとは思っていませんし、ビックリするような結果にもならないと思いますが、エンジニアとしては(自分たちのマシンパッケージ性能の判断基準として)ここできちんとした結果を加えられるかな、という気持ちです」

 バルセロナでレッドブル・ホンダと角田裕毅がどのような走りを見せるのか。それは彼らのシーズンの今後を大きく占う結果になるはずだ。

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