佐藤琢磨の目標は「インディ500連覇」。新コンビで12シーズン目に挑む

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano
  • photo by AP/AFLO

 彼らは昨シーズン最終戦のストリートレース(セントピーターズバーグ)でようやく明るい兆しを示した。だが、そこで得た改善のヒントを、まだ常設ロードコースのセッティングに反映するところまでは到達していなかった。

 ただ、バーバーでの開幕戦では様々なトライを行ない、少しずつだが着実にマシンを改善していった。予選は琢磨が19位、レイホールが18位と芳しくない結果に終わったものの、レースにはそこからもう一段ひねりを加えたセッティングで臨み、トップグループに迫るペースで90周のレースを戦い抜いた。マシンにトラブルが出ていた琢磨はウィナーたちが選んだ2ストップ作戦を採用できなかったこともあって13位でのゴールとなったが、レイホールは7位フィニッシュを達成した。

 今シーズンのインディカーシリーズは、9月下旬までに17戦がスケジュールされており、そのうちの13戦がロードコース、ストリートコースでの開催となる。オーバルコースは全長1.5マイルで急なバンクを持つテキサス(ダブルヘッダー)、全長2.5マイルの超高速コースで行なわれる第105回インディ500、そしてセントルイス近郊のショートオーバル(全長1.25マイル)だけ。琢磨はテキサスではポールポジション獲得経験があり、インディは昨年を含め2勝、セントルイスでも一昨年に勝っている。オーバル4戦すべてで、琢磨は優勝候補に数えられることとなる。

 そして琢磨には「インディ500連覇で通算3勝目を達成するのではないか」と、アメリカでも注目が集まっている。

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 昨年の冷静沈着な戦いぶり、そして終盤一気にトップを奪って逃げ切った勝ちっぷりからして、いまインディアナポリスモータースピードウェイでの勝ち方を最も深く理解しているのが琢磨であることは間違いない。レース序盤からリードを続け、勝利を確信していたディクソンを、琢磨はセンセーショナルに打ち負かした。シリーズ最強と呼んでいいチームのガナッシがベストの力を発揮したレースで、琢磨とRLLがウィナーとなったのだった。

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