角田裕毅はミスを猛省。レッドブル・ホンダは今季初勝利で手応え十分 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 予選5位に入ったピエール・ガスリーとは対照的に、最後尾グリッドからの決勝。

 直前の雨で難しいコンディションのなか、角田は慎重にスタートしながらも空いたスペースには飛び込んでスルスルと順位を上げていった。予選での教訓がしっかりと生きた、アグレッシブかつステディなドライビングだった。

 路面が乾いていき、各車がインターミディエイトタイヤからスリックタイヤに換えた段階での順位は10位。十分に入賞が可能なところまで挽回してきたのは見事だった。

 しかし、バルテリ・ボッタス(メルセデスAMG)とジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)の大事故による28分間の赤旗中断が、角田の集中力を奪った。

 セーフティカー先導からのレース再開直後、目の前で空いていたルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)のインに飛び込んだものの、オフラインは当然濡れたダンプ状態。スロットルを踏み込んだ瞬間、足をすくわれてスピンオフし、最後尾まで落ちてしまった。

「自分自身にものすごく腹が立っています。今日は速さがあったし、ルイスをオーバーテイクしかけたんです。それなのにアグレッシブにスロットルを踏みすぎて、リアがスナップしてスピンしてしまいました。その後もペースがよかっただけに、すごく残念です」

 そもそも、濡れた路面で抑えて走るハミルトンを抜くことに、あまり大きな意味はない。路面が乾けばハミルトンのほうが速く、いずれは抜き返される。それよりもハミルトンの背後についていって、一緒に前走車を抜いて行く方が賢明だった。それはチームとしても指示すべきことだったかもしれない。

 いずれにしても角田は、予選と同じように攻める必要のないところで攻めすぎて、ミスを犯してしまった。ここで学ぶことができたのは、ウエット路面でのスロットル操作の是非ではなく、レース全体を見て攻めるべきか引くべきかを考えるということだ。

 そこから前の集団を追いかけたものの、入賞のチャンスをフイにする大きなミスを犯してしまったという自分自身に対する苛立ちと、集中力を欠いた状態でのドライビングはやや粗く、4度のトラックリミット違反を犯して5秒加算ペナルティと1点のペナルティポイントを科されてしまった。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る