スーパーGT開幕戦はパドック騒然。トヨタ表彰台独占、王者ホンダ大不振 (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 それが、トヨタ勢に有利に働き、ホンダ勢には不利に働いた。予選に関する印象を両陣営のドライバーから聞くと、返ってきた答えはまったく異なるものだった。

「(路面温度が上がったことは)僕たちにとってはいい方向に働きました。ホンダ勢がどういうタイヤを選んでいるかわかりませんが、おそらく僕たちとは違うタイヤを使ったのだと思います。ここまで路面温度が上がるとは誰も予想していなかっですけど、僕たちにとってはそれが有利に働いてくれました」(平川亮/KeePer TOM'S GR Supra)

「僕たちが事前に持ち込んだタイヤは、もう少し気温と路面温度が低くなることを想定したものでした。それに対して、トヨタ勢は温度が少し高めを想定したタイヤを用意していたのだと思います。土曜朝の公式練習までは対処できていましたが、(温度が上がった)予選になってからトヨタ勢が息を吹き返し、僕たちは苦戦してしまった」(山本尚貴/STANLEY NSX-GT)

 ホンダの佐伯昌浩ラージプロジェクトリーダーも、「路面温度が上がったなかで、予選ではスープラが安定した速さを見せたのに対し、我々はうまくまとめられなかった」と反省の弁を述べた。

 ホンダ陣営は昨年、導入された新規定に合わせてNSX-GTのエンジン搭載位置をコックピットより前方に移す「FR化(フロントエンジン後輪駆動)」を行なった。序盤は苦戦したが徐々にパフォーマンスを上げて、結果的にシーズン4勝を記録。年間王者に輝いた。

 ただ、NSX-GTは昨年のチャンピオンマシンではあるもの、他メーカーと比べてFR車両のデータが豊富に揃っている訳ではない。それが、予想外の暑さとなった岡山ラウンドで苦戦した原因のひとつとなったようだ。

 予選で後方に沈んでしまったホンダは、集団の中での決勝レースを強いられることになる。岡山は追い抜きが非常に難しく、コース上で順位を上げるのは難しいサーキット。Astemo NSX-GT(ナンバー17)の5位が最上位だった。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る