2輪ロードレースで世界王座を狙う中上貴晶「ホンダの期待に応える」 (3ページ目)

  • 西村 章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●写真 photo by Takeuchi Hidenobu

ーーそのあたりの変化に、HRCからの期待の大きさや、自分が評価するコメントの責任の重さを感じるのでは?

「今までとはまったく違いますね。カタールのテストが始まる前にHRCのエンジニアの方たちとミーティングの場を設けてもらったのですが、『このミーティングはタカをチャンピオンにするためのプログラムで、そこに自分たちは焦点を置いている』とハッキリと言われました。今まで言われたことのない言葉だったので、ものすごい重圧や期待の高さや、いろんなものを感じましたね。『タカをチャンピオンにしたい』と言ってくださったことはすごくうれしかった反面、それ以上の結果で応えなきゃなと思うとすさまじいプレッシャーもあります。気持ちはとても引き締まりますね」

ーーテストを終えた段階では、ドゥカティファクトリーの調子が良さそうで、ヤマハもきっちりとまとめてきている様子です。また、昨年王者のスズキも相変わらずバランスが良さそうです。開幕を前にしたライバル陣営の戦力分布は、ライダーの目からどう見えていますか?

「そこは正直、かなり難しいところがあって、テストの数字だけではなかなか判断しづらいところもあると思います。テストメニューの組み立て方やテスト中のタイヤの使い方などは、同じメーカーでもライダーによってさまざまなので、テストの数字だけではなんともいいにくい面があります。

 たとえば、テストでトップタイムだったジャック(・ミラー/Ducati Lenovo Team)と自分のタイム差は1秒近くありました。レースウィークなら、このタイム差はたしかに致命的です。ただし、テストではどのタイヤを何本、いつ、どう使うかということにも左右されるし、僕の場合は20年型と21年型の比較に集中していたので、タイムアタックをしていません。というふうに、いろんな要素が違うので、皆のタイムやロングランの内容などはもちろんチェックしているものの、正直なところ、あまり気にはしていなかったですね」

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