ホンダF1、ラストシーズンの勝算。「隠し球」でメルセデスを乗り越えろ (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 ホンダとしては、メルセデスAMGとの差を埋めるためにはこのERSの改良が必要不可欠と言える。そうしなければ、決勝での競争力を保つことができないからだ。この弱点には昨年の序盤ですでに気づいており、2021年に向けて改良を進めてきている。

 ただ問題は、メルセデスAMGが今季型パワーユニットに「これまでにレース用パワーユニットに使用してこなかったイノベーションを投入している」と言っていることだ。

 本家メルセデスAMGだけでなく、アストンマーティンのAMR21にもリアカウルに大きなバルジ(膨らみ)が存在していた。パワーユニット上部の吸気系、またはターボ周辺に何らかの大きなコンポーネントを搭載していることを匂わせている。

 2014年の規定導入から今年で8年目となり、すでに現行パワーユニットの開発は重箱の隅をつつくところまで来ていると思われていた。しかし、メルセデスAMGが革新的アイデアでさらなる大飛躍を遂げたとなれば、総合力で追いつくのはそう簡単ではないかもしれない。予定どおりなら23戦を3基で戦わなければならず、シーズンが開幕してしまえば大きな開発はままならないからだ。

 ホンダの最終シーズンには、またもメルセデスAMGという高すぎる壁が立ちはだかることになる。だが、ホンダもまだRA621Hの詳細は一切明らかにしておらず、レッドブルもRB16Bに隠し球を持っていると見られている。

 彼らがメルセデスAMG以上に大きな"タマ"を隠し持っていることを期待したい。

(5)コストキャップ&新規定導入で、今季の戦い方が大きく変わる?

 2021シーズンは、各チームの戦い方が従来と大きく異なるものになりそうだ。

 まず、コストキャップが導入されて、各チームの年間予算は1億4500万ドル(約158億円)に制限される。ドライバーの契約金やマーケティング費用などは含まれないとはいえ、これまで年間300億円とも500億円とも言われる予算を投じてきたトップチームにとっては、かなり厳しい制約となるだろう。

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