日本人F1ドライバー角田裕毅、天性のドライビングセンスに世界が注目 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 一方のフェルスタッペンは、明らかにメルセデスAMGより劣るマシンで2位を奪い取るなど、昨年幾度も速さを見せた。内容面ではキャリアベストのシーズンだったとも語っている。レッドブルの車体と、ホンダのパワーユニットの両面がきちんと進歩すれば、ハミルトンとタイトルを争う力はすでにある。

 また、新加入のペレスがフェルスタッペンと近い位置でレースができれば、メルセデスAMGと2対2の戦いが展開できる。戦略面での不利もなくなるわけだ。

 ただし、フェルスタッペンとレッドブルは昨年、ミスやトラブルで何度もレースを失っていた。このような取りこぼしが続くようなら、いくら速さで上回ったとしても、タイトルはハミルトンとメルセデスAMGのものになってしまうだろう。

(3)角田裕毅はF1デビューシーズンどれだけ活躍できる?

 FIA F3とFIA F2をそれぞれ1年で卒業し、ついにF1デビューを果たす20歳の角田裕毅(つのだ・ゆうき)には、世界中から大きな注目が集まっている。

 F2で見せたアグレッシブかつ巧みなレース運びが、角田の大きな武器だ。バトルでの攻め方は天性のセンスだが、バトルに持っていく駆け引きの頭脳戦もうまい。

 F2昇格当初はタイヤマネジメントに苦労していたが、エンジニアとともに徹底的に分析して仮説を実践・検証し、シーズン後半戦にはしっかりと自分のものにしてみせた。その成長の早さもさることながら、必要な学びを得るためにあえてリスクを背負ってコース上で実践していく勇敢さもある。

 F1初年度となる2021年も、角田は同じアプローチを採るつもりだと公言している。

 F1マシンはF2の何倍も複雑で、セットアップも多岐にわたる。ステアリングホイール上には、走行中に調整してマシン挙動を変えるためのパラメーターが数え切れないほど並んでいる。それらを管理するエンジニアの数も現場だけで何十人、そしてファクトリーにも大勢のスタッフが関わり、彼らの力を集結させて初めて最高のパフォーマンスを発揮できるマシンだ。

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