日本人F1ドライバー角田裕毅、天性のドライビングセンスに世界が注目 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 レッドブルは昨年、CFD(数値流体解析)や風洞の数値に問題があったため、想定外のナーバスな挙動に苦しんだ。だが、2020年型の開発を続けたことでシーズン後半戦にはその問題を解決し、RB16B用のパーツを次々と小出しにしてきた。そこに、あとどれだけの伸びしろがあるかが勝負になる。

 両者のマシンがまったく同じパフォーマンスレベルだったとすれば、あとはドライバーふたりの勝負になるだろう。

 その点に関して、レッドブルはセルジオ・ペレスの加入で従来よりも強力なラインナップになったと言える。だが、ペレスが本来の速さを引き出せるようになるには、マシン特性とセットアップの完全理解が必要だ。チームやマシンへの適応には、少なからず時間を要するだろう。

 その点を差し引けば、コンストラクターズチャンピオン争いはメルセデスAMGが優位に立っていると言えるのではないだろうか。

(2)フェルスタッペン悲願のチャンピオン獲得なるか?

 コンストラクラーズタイトルだけでなく、ドライバーズタイトルの行方もマシンの出来・不出来によって大きく左右されるだけに、現段階での予想は難しい。

 しかし、3強の一角であるフェラーリが昨年大きくつまずき、今年もその主要コンポーネントを引きつがなければならないため、復調を期待することは難しいだろう。さらには、新車発表がテスト直前の3月10日までずれ込む状況だけに、名門復活への道のりが険しいのはなおさらだ。

 となれば、やはりメルセデスAMGとレッドブルのドライバーたちの戦いになり、当然ルイス・ハミルトンとマックス・フェルスタッペンの戦いになる可能性が高い。

 F1史上初となる8度目の戴冠を目指すハミルトンは、いまだモチベーションに衰えがない。36歳になってもドライバーとして成長を続けている。

 対バルテリ・ボッタスの戦いぶりを見ても、一発の速さでは決定的な差をつけていないのに対し、決勝でのタイヤマネジメント、オーバーテイクや周回遅れの処理の巧さ、そして勝てない時でも確実に表彰台に立つなど、抜群の安定感を誇る。昨年はボッタスが遅かったというより、ハミルトンがレーシングドライバーとしてさらに強さを増した結果と言える。

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